Untitled

ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

アニメ「スキップとローファー」

この春アニメは見るべきものがたくさんあって楽しかった!

仕事が大変で辛かったんだけど、その癒しになったのが「スキップとローファー」でした。女子高生主役の日常系アニメって私の趣味ではないので、どんな話題作でも見ることはないのですが、原作の評判が良かったことをふと思い出して、試しに第1話だけでもと見てみたら、とても気にいったというわけです。あまりの癒し効果にはまってしまいました。これから原作も買って読みたいです!(アニメ第2期もやってほしいなぁ)

 

何がよかったかというとうまくいえないんだけど、ミツミちゃんと彼女を取り巻く人間関係の描写がすごく心に響いたな。地に足がついていて、繊細で、希望が見える感じ?

少女漫画なのかと思いきや、現代の少女小説っていう感じ。

私の中では「赤毛のアン」シリーズが一番近いかも。

(そういえば、以前高畑監督の「赤毛のアン」についてエントリーを書いていたんだけど、ここに貼っておこう。)

 

banana-snow.hatenablog.com

 

ミツミとアンがかぶるんだよね。ミツミはアンほど不遇な境遇ではないんだけど、二人とも聡明で明るくて、想像力豊かで、でもちょっとエキセントリックで、勉強に意欲的で、女の子でも田舎から街の学校に進み、将来のキャリアを夢見ているから。ミツミとふみちゃんの関係は、アンとダイアナみたいだよね。

 

ミツミは秀才なんだけど、アニメにありがちな天才ではないし、地に足がついたキャラ造形だ。総務省で地方おこしをするというのもなんかいいね。入省したら、現実と理想の狭間で苦悩しそうな感じだけど、今はピュアな夢見る若者って感じでヨシ。

最初は天然系鈍感女子なのかと思ったんだけど、そんなことなくてちゃんと人の心を洞察できるし、反省もできるいい子なのが泣ける。ミツミの周囲の子もみんなそれぞれ思春期らしい悩みがあるんだけど、少しづつ前に進んでいるのがいいよね。ミカは最初嫌な女の子に見せかけて、多少ちゃっかりしているけど、すごくいい子だし、ゆずもまこもみんなそれぞれ悩みがあるけど、相手のことを理解しつつ成長しているのが見えて、なんか泣けてくるよ。勿論、男の子たちも。しま君も兼近先輩もいい子じゃないの。しま君の子役友達のクリス君とか気になるねぇ。彼はミックスルーツの子なの? あの読モ女の理解者になれるのはクリス君ってわけね。(りりかちゃんも最後の号泣は可愛かったよ!)

もっとも、ああいう高校生活って進学校ならではって気がする。進学校ほど、いい意味で変わり者を許容できる余裕があるし、文武両道の進学校は体育祭や文化祭に気合が入るからねぇ。

夏休みでミツミが実家に帰る回は涙なしでは見られなかった。私も大学進学から実家を離れたんだけど、初めて実家に帰ったときとかあんな感じだったなぁ。

地に足がついた描写といえば、叔母のナオちゃんの描写がすごく好きです。誇張した「オネエ」キャラでもなく、そのあたりにいそうなトランスジェンダーの描写がすごくいいと思います。まあ、お悩み相談担当のトランスジェンダーなんて「オネエ」キャラの定番じゃないかと言われればそうなのかもしれないけど、TGだからというより、独身で子どものいない叔母が高校生の姪とその女友達に接するとしたら、ああいう立ち位置になるのが最適解だと思う。そういう意味で、リアルだな、と。ナオちゃんの若いころの苦悩とか、TGとしての難しさとかさりげなく描写されているけど、でも物語の展開にスムーズに馴染んでいて、すごく上手い描写だと思います。

 

これは現役の学生よりも大人の心にヒットする…。そういう意味で少女漫画誌ではなく、アフタヌーン連載というのもわかるんだけど、こういう作品を少女漫画にカテゴライズできなくなったのなら、少女漫画というジャンルの未来は厳しいと思う。昔は少女漫画もかなり多様性があったんだけどなぁ。

 

最後に一点だけ。

全くストレスなく見られたのが素晴らしいです。女子高生ものって、性的視点が入ることが多くて、それがなによりもストレスになるので、最近は見るのを避けがちです。胸や足を強調したデザインとか、エロ目線の服の影を入れたり、とか。そういうのがないだけで、本当にストレスなしで見られる。日本のポップカルチャーでは、女子高生ってだけでエロアイコンにされることが多くて、最近はもううんざり。(勿論、ミニスカでおっぱいボーンという絵でも他の要素が面白ければ、ちゃんと見るし、評価もしますけど。)これは原作の力もそうでしょうけど、アニメで余計なものが付け加えられなかったのもよかったです。アニメが売れるためにエロ要素を付け加えるなどという余計な判断がなされず、本当にありがたいことです。