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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」(2022)

2年半ぶりに帰国してきました! 日本滞在は2週間ほどでしたが、運よく安彦監督の「ククルス・ドアンの島」を見に行くことができました。正直、ククルス・ドアンの島のエピソードはあまり記憶にないんだよねぇ。作画崩壊でネタにされていることは知っているけど。私にとってのファーストガンダムは映画版三部作だからかな。(確かサンライズも映画三部作を公式にしてないっけ?)

なので、ククルス・ドアンの島エピソードが映画になると知ったときも、正直フーンというくらいの興味度でした。(ガノタの風上にもおけないとお叱りを受けそうだけど)

でも、映画館の大きなスクリーンでガンダム映画を見られるチャンスなんて在米の身にはめったにないので、時間を作って見にいったよ。

一言でいえば、目新しいものはないし、エキサイティングというほどでもないけど、悪くないという感じ。ガンダム好きなら、見て損はなし。(ただ、ガンダムを見たことがない若者に勧められるかというとちょっと微妙かな…)

 

以下、ネタバレありの雑感!

 

  • ザクがかっこいい!

これは文句なしでこの映画の美点。戦闘シーンはめっちゃわくわくしました。CGを使っているんだろうけど、あまり違和感がなかったのもナイスです。

ドアンのザクがボロボロなのに、すごくかっこよかったよ! サザンクロス隊のザクは尋常じゃない動きだったんだけど、何か特別なザクなのかな?(私はザクに全く詳しくない…)まあ、かっこよかったからいいんだけど。今までザクに魅了されたことがない私が、初めてザクをかっこいいと思えたよ。

この映画の戦闘シーンはおおむねいい出来だったので、満足です。

 

  • 安彦さんの線が躍るよう!

安彦さんの線描って独特のタッチですよね。すごく生き生きした線を描かれるので、一目でわかるというか。アニメーターとしては本当に国宝級。キャラたちの独特の生き生きとした表情や仕草を堪能できるのは、安彦さんの御歳を考えると(もちろん、長生きしてこれからもご活躍されることを祈っていますが)、貴重な機会だな。

 

以下は批判なので、苦手な方はスルーしてください。

 

  • ちょっと古臭い

安彦さんの漫画的な顔の表現をそのままアニメに移しているので、違和感があるときも。顔の表現(口や鼻、影のつけかた)は漫画風で、今どきのアニメ表現ではないので、やっぱり古臭いと感じるんだよねぇ。特にMSの戦闘シーンなどは、現代のアニメ表現としてアップデートされているので、漫画的な人物表現と齟齬を起こしやすいのかなぁ。

  • くどい(子どもたちとヤギ)

漫画的描写が古臭いと思えたのは、おそらくその大げさな表現から来ていると思う。

大げさなのはギャグ的な表現なんだろうけど、なんか食傷してしまいました。特に、子供たちの騒動やヤギの描写が結構しつこくて、かなりゲンナリ。この辺りはもっと削ってもよかったのでは? その分、サザンクロス隊の描写や、ドアンの過去をもっと描いてほしかった。

 

  • 女性キャラの描写がイマイチ

カーラが母親役をやるのがあまり好きじゃなかった。これは完全に私の個人的な感情なんだけど、年かさの少女がケアラーの役目を背負わせられているのを見ると胸が苦しくなるんだよね。しかも、ドアンへの恋愛感情のようなものを匂わせているのもイヤ。あと、サザンクロス隊の美人パイロットさんも、ドアンへの微妙な情を見せているんだけど、これも恋愛感情? 

女性陣とドアンの繋がりが恋愛感情ありきで描写されるのは陳腐だと思ってしまう。

 

個人的に一番不愉快だったのが、セイラさんとスレッガー中尉のやり取り。

スレッガーがセイラさん(のコアブースター)に乗せてほしいと頼んで、セイラさんに平手打ちされるシーン。

これわかりにくかったけど、ギャグなの? 全然笑えない。

セイラさんに乗る=セイラさんとやる

というスレッガーのセクハラジョークで、セイラさんが怒った、という解釈でいいんだよね?

正直、ガンダムであまりエロネタをやってほしくないんだけど、まあそれは置いておいて、このシーン、スレッガーにもセイラさんにもあまりいい印象を与えないやり取りだよね。

スレッガーが単なるセクハラ野郎になってしまったのはちょっと…。

仮にスレッガーの意図がセクハラではなくて、本当にコアブースターに乗せてほしいというだけの意味なら、その依頼の意味を誤解して平手打ちを食らわせたセイラさんは自意識過剰でセクハラに過剰反応する女だと揶揄されているように見える。

ギャグとして見せるつもりだったのかもしれないけど、こんなギリギリのセクハラ会話をミスコミュニケーションのギャグとして笑うことは無理だな…。

まあ、女性キャラ描写の微妙な古さというか不愉快さは、ジ・オリジンのアニメを見たときに痛感したんだけど、安彦さんのお歳を鑑みて、まあしょうがないかとその時は看過した。今回の映画を見て、私は安彦さんの女性描写が苦手なのかもと改めて思った…。

富野監督の女性描写も特に目新しくはないんだけど、ある意味キテレツというか、その突き抜けっぷりが面白くて、好きなんだよなぁ。

 

ほかにも色々言いたいことはあるんですが、一言。

 

アムロとカイの声が変わっていないのはすごい!