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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

ことぶきつかさ「Zガンダム デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポート」

去年の夏に突如始まったガンダム再燃ですが、しつこく続いています。ただ、ガンダム全般というよりは、ハマーン様らぶ~だったり、ZZの再評価(↑)だったり、と、非常に偏ったマイブームになっているような。実際のところ、宇宙世紀をネタにした公式二次ともいえるような作品が無数にあるので、見る/読むネタには困らないのですが、かなり複雑な気分です。この微妙な気分は、昔ながらのファンの方々ならわかってくださるものなのでしょうか…。まあ、私は割合節操がないので、公式二次作品であろうとも、後付け満載作品であろうとも、それなりに楽しみや解釈の一致を見出せるから別にいいんですけど。

 

ということで、ことぶきつかさ氏の「機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポートより」(全2巻、2007)について、少しだけ。(以下「カイレポ」)

 

 

 宇宙世紀ものの公式二次(ガンダムエースに載っている宇宙世紀をネタにした作品群)の中で、今のところ一番スキな作品かもしれません。ことぶき氏といえば、ギャグネタ(Vガンのあれね)というイメージがあったので、こんなまじめな(失礼!)内容だと思いませんでした。

バストショットの会話劇がほとんどで、ストーリー漫画というよりは、短いエピソードを集めたSS集っぽい感じ。短い尺に作者の言いたいことを目いっぱい詰め込んだなー、という印象です。ただ、これは悪い印象ではなくて、ことぶき氏の熱意やガンダムに関する愛を感じたので、むしろ好印象です。

この「カイレポ」を読むと、氏の宇宙世紀解釈はしっかりと基本を踏まえた、オーソドックスなものだと思いました。私としては納得できる部分が多かったのも好印象の要因ですかね。

そして、各エピソードについていた担当編集者とのあとがき対談が非常に興味深かったです。(むしろ、本編よりもこっちのほうが気になったかも)

 

カイ・シデンは宇宙世紀の男性キャラでベストテンに入るくらい好きなキャラです。

彼の斜に構えたところが、ひねくれものの私のツボにはまるんです。でも、私的に一番ポイントが高いのは一年戦争後に軍人ではなく、ジャーナリストになったという点ですかね。Zに出てきたファーストのキャラクターの中で、一番納得のいく、一年戦争後のキャリアだと思います。軍人ばかりでなくて、民間のジャーナリストがいると視点が多様になるのも作品にとってプラスですね。(そういえば、∀のフランもジャーナリストだったな。)

ちなみに、私はひそかにカイとセイラさんのカップリングが好きなんですけど、どうなんでしょうか…。一年戦争中ではなくて、戦後にいい関係になることを妄想するのが好きです。一年戦争時はセイラさんとアムロがくっつくことを期待していたんだけど、ララアとシャアの件があったから、結局セイラさんはアムロと幸せになれない運命かと。でも、セイラさんには幸せになってほしい…。宇宙世紀の女性キャラではハマーン様の次に好きで、ファーストのヒロインはララアじゃなくてセイラさんだと思っています。

 

でも、カイがキスしたのはレコアだった!!!!

実は、レコアはかなり好きなキャラです。彼女もシャア被害者の女子会メンバーだからね。CVが勝生真沙子さんなのも好き要因。

ジャブローで彼女に何がおこったのかは、その後の彼女の行動を考えるキーポイントではあるのですが、正直、拷問とか強姦とかそういうのをガンダム世界で描いて欲しくないと思っています。実際、カイレポでもそこらへんは曖昧でしたが、そのほうがいいです。あと、レコアは、シャアとの関係もキーポイントですけど、なんだか辛いよね…。カイレポではシャアのことで涙を見せていたのが、可哀想で胸につまります。テレビ本編では涙は見せていなかったけど、でも泣いていいんだよ! せめて、シャアが彼女にもう少しだけ優しくしてあげていれば…。って、シャアの女たち、みんなそうじゃない?

 

で、セイラさんのエピソードがあったのは嬉しいんだけど、肝心の本人がほとんど登場せず。オリキャラ視点の話だけで、しかも「ジ・オリジン」準拠の過去話と、あまりぱっとしない内容だったのでちょっと残念。この「カイレポ」はマイナーなキャラにスポットライトを当てているのがいいところなのですが、メジャーなキャラ(例えばシャア)のエピソードはあまり面白くない……。メジャーなキャラは今までいろいろな媒体で描かれ、メジャーゆえに制約が多いので作家さんの自由な創造ができないというのが原因ですかね。

ただ、このエピソードのあとがきが興味深かったです。

安彦氏の「ジ・オリジン」と、ことぶき氏の考えていたジオン・ダイクンの解釈が微妙に違っていたけど、「ジ・オリジン」の世界を無視したり歪めたりするのは本意ではないし、読者を混乱させたくないので、そのあたりは安彦先生に許可をとって、引用することで整合性をもたせることにした、というくだりですね。

まあ、そうですよね。「ジ・オリジン」で書かれた、アニメ本編以前の世界は、勿論安彦氏の独自解釈ではあるけれど、たとえ解釈違いでもある程度尊重しなきゃいけないというのはよくわかります。特に安彦氏は宇宙世紀の世界の基礎を富野監督と共に築いた方ですからねぇ。ほんと、お疲れさまです。

でも、これってガンダム作品を創作する上で、大きな制約になるところですね。最近、整合性を合わせなければいけない部分があまりにも多くなっている気がします。

 

 

ラコックについて続きます。

 

 

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