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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

映画「閃光のハサウェイ」(2021)雑感

ネットフリックスで、「閃光のハサウェイ」を見ました。意外に良かったです! 映画館で見られる日本のファンが羨ましい。(しかも劇場版特典があるんでしょ? いいなぁ。)

 

にしても、これで完結かと思ってみてみたら、三部作の第一部なのね。あっさり終わってびっくりしたよ。正直、最初から三部作の第一作だとはっきり宣伝してほしかったよ。まあ、そういうと、完結してから見ようという観客が出てきて、観客動員に影響するからだろうけど。ちょっと不意打ちをくらった感じだ。

 

以下ネタバレありの雑な感想です。

 

 

まず、大前提として、小説の原作は大昔に一度読んだきりで、全く覚えていない。

持っている知識は、

1)ハサウェイがマフティと名乗って、テロリストをやっている 

2)最後に処刑される (ブライト艦長は知らない)

3)小説は逆シャア小説(ベルトーチカ・チルドレン)の続編

ぐらいです。

ちなみにベルチルは若かりし頃何度も読み返していた記憶があります。単行本が実家の段ボールの中で眠っているはず。

でも、今回の映像化は映画版の逆シャアの続編ということなので、チェーンの扱いがどうなっているのか、興味があったのですが、今作では特に言及なし。クェスの死がハサウェイにトラウマを植え付けたことはわかるんだけど。このあたりの事情は自作に持ち越し?

宇宙世紀の初代、Z、ZZを見ていなくても理解できそうな丁寧な作りだけど、逆シャアは見ていないとさすがにちょっと厳しいかな。ハサウェイとクェスの関係が根幹にあるからね。

ギギは富野ガンダムでおなじみの不思議ちゃん少女だけど、クェスほど嫌な描き方ではないし、エキセントリックさも控えめで、好印象。個人的にはニュータイプ描写に飽きているので、勘が鋭くて感受性の強い人という今作のギギ程度の描写で十分です。

キャラデザも割合好きかな。これ原案は美樹本さんなの? うまくアップデートしているね。ギギの服もかわいくていい感じ!

アムロのイメージが出てきてびっくり。古谷さんのお声でアムロだと一発でわかったけど、ガンダムに詳しくない観客や海外の観客はこれでわかるんだろうか。(もっともわからなかったところで、話の理解に支障が出なさそうなので、ファン向けのサービスシーンってところ?)

ただ、今回の閃ハサは、ストーリーの展開やキャラの関係を楽しむというよりは、映像表現がすごく私の好みだったのよ。それが自分自身、一番意外な驚きだったのかも。

映像表現で好きになったガンダム作品というのは割と珍しいかな。実写に寄せたというよりは、実写を意識したアニメ映像という感じで、劇場版パトレイバー1・2の画面の作り方と雰囲気が似ているんだよね。リフレクションの使い方とか、市街戦、モニター越しの戦闘とか、パトや攻殻で全盛期の犬監督っぽい映像表現で、めっちゃ好みだった。あと、ハサウェイが古ぼけた街を徘徊するシーンもパト1の松井さんっぽかった!

いい意味で今までのガンダムっぽくない画面の作り方で新鮮。

背景が如何にも写真から起こしたっぽいところがあったけど、まあそれはご愛敬ってことで。

 戦闘シーンは全般的によかったんだけど、せっかくのペーネローペーとクスィーの戦闘シーンが暗くてよく見えなかった…。パソコンの画面のせいなのかしら? やっぱり映画館で見ると綺麗に見えるのかなぁ。残念! ペーネローぺーもクスィーも全身ががっつり見えなくてちょっと勿体ない。バンダイとしてはOKなの? 大丈夫?プラモ売れてる?

劇伴はさすがの澤野さんという感じでうまく盛り上がるツボを押さえているんだけど、エンディング曲は頂けないなぁ。唐突に妙に明るい曲調の歌で、これじゃあまるでハサウェイの未来が明るいみたいじゃないか! しかもなんかべたべたした歌い方で好きじゃない…。

 

最後に、このご時世、テロリストの描写は大丈夫かなぁと心配していたけど、そのあたりのバランスはちゃんと取れていたので安心しました。進撃の後遺症だと思うんだけど、本当に心配していたんだ。

テロ行為に対する批判も、地球連邦に対する批判も両方盛り込まれていたけど、ハサウェイに対して過度な感情移入をさせないように淡々と進んでいて、よかったです。処刑エンドに関して、ブライト艦長(&ミライさん)に思いっきり同情はするけど、ハサウェイ自身はまあしょうがないよねって感じ…。

ところで、地球の人民を宇宙にすべてあげるというマフティの論点ですが、人類が地球の環境汚染の原因になっているというバックグラウンドディスカッションはやっぱりわかりづらいよねぇ。

私は、地球環境の問題は二の次で、むしろスペースノイドとアースノイドの階級闘争の側面が一番大きいのではないかと思っているんですが。アースノイドは特権階級で、「地球の重力に魂を引かれた人々」という形で描かれていたのが、ZZ&逆シャアあたりで顕著だったので、今作も階級闘争の部分を強調したらよかったのに。とはいえ、そうすると地球での労働者階級の人たちや下町の貧しい様子なんかに説得力が欠けるという問題が出てくるのか…。

ニュータイプという人類の革新論も、人類を全て宇宙に上げるとこで為し得るわけだけど、ニュータイプ論そのものをなかったことにすると、人類を全て宇宙にあげる必然性がなくなるからなぁ。

原作ではどう理論づけているんだろう。ヒマができたら、原作を読むとしよう。

 

ということで、次作はいつになるんだろうか。あまり待たされると忘れてしまいそうなので、1年後くらいにお願いします! 楽しみに待っています。

 

ところで、英語字幕で、クスィーの表記がXiになっているんだけど、なんで??

これだと、「シー」と発音しちゃうよ!(中国語のピンイン表記)

今をときめく習近平の習がXiでシーと読むので、中国語を勉強したことのない一般視聴者でもニュースを見ていればわかること。これじゃあ、みんなシーガンダムって読んじゃうよ。サンライズかバンダイが英語名称をつけて、それを参考にしているのかもしれないけど、よく考えて英語名付けて欲しい…。