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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

アニメ監督それぞれ

ヤフーのトップ記事になっていて何事かと思いました。

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まあ、いつもの富野監督っていう気がしますけど、宮崎監督の天才的な才能を認めつつも、負けてたまるかっていう強い気持ちが富野監督を創作に駆り立てているんですね。この心意気をGレコの新作にぶつけてくださることを期待しています。

 

富野監督、宮崎監督、押井監督というほぼ同世代のお三方が作り出された作品に私はずっと魂を惹かれています。(ただし、押井監督の実写は却下!)

ところで、世界的な人気という面で宮崎監督が抜け出ていますねえ、やっぱり。今住んでいる北米のド田舎でも、日本のことを何もしらない両親のもとで育った子どもたちですら、宮崎アニメは知られているし、私にもよく聞かれます。(でも、そのたびに、漫画版の「風の谷のナウシカ」が宮崎監督の最高傑作だと言い張る私は面倒くさいオタクだと自分でも思うけど...)

 

この三人の監督について色々比較して考えてみると、宮崎監督だけが一貫して「子どものためのアニメ」を作っていらっしゃるところが、富野監督や押井監督と違う点ですね。そして、実写を志向していないというところも。

押井監督はもともと実写の映画を作りたかったけれど、叶わずして、アニメの世界に飛び込んだと聞いています。で、大人のためのアニメ映画を作り(パト1・2、攻殻機動隊)、今は念願の実写映画を作っていらっしゃるわけで。(しつこいけど、押井監督は実写やめて、アニメに戻ってほしい)

富野監督も大学卒業後に映画製作会社に入れなくて、やむをえず虫プロに入ったそうですが。アニメが「テレビマンガ」と言われていた時代、子供向けのアニメを作ることに忸怩たる思いを持っていらっしゃったようですね。特に、巨大ロボットものは完全に子どもむけでバカにされている中、大人が見て面白いものをということでガンダムを作って、今に至る…。ただ富野監督が実写に行かなかったのは面白いと思います。

富野監督はアニメが「二流ジャンル」(実写映画に比べて)だった時代に、アニメの可能性を押し広げ、結果的に、アニメが子どものものだけではなく、大人が見て楽しめるものになったというのが先駆者としてすごいなあと思います。勿論、アニメというジャンルを子ども向けから全ての年代が見て楽しめるジャンルにした先駆者のクリエイターは色々いらっしゃいますが。

(そもそも初代のガンダムも富野監督だけが作り出したものではなく、安彦氏や大河原氏などの才能が集まった結果ですし…)

でも、宮崎監督は違っていて、アニメを志したのも児童ジャンルだからで、スタート地点がそもそも違うんですよね。で、「子どもむけの作品」だけど、大人が見ても楽しめる作品を作ったという点が何よりもポイントが高い。子ども向けで、一見間口が広いんだけど、よく見るとマニアックというのが、すごいなあと思います。

でも、このマニアックさをアメリカの無邪気な子どもたちに説明できない。いつ見ても思うんですけど、「もののけ姫」なんて、子ども向けじゃないよ。何しろ映画の締めくくりがジコ坊の「バカには勝てん」だよ?

ところで、漫画版の「風の谷のナウシカ」が好きなのは、監督の「大人向け」が丸出しだからなんですよね。「子ども向け」というカバーを取り去ると宮崎監督からこんなものが出てくるのか、とワクワクします。

 

残念ながら、北米では富野監督は知られていないですねぇ。ガンダムはアニメオタクなら名前だけは知っているけど、というレベル。富野ガンダムはアメリカのオタクでも理解するのが難しいと思います。エキセントリックな人物描写に、独特のセリフがね…。私は富野監督独特のセリフの応酬が大好きなんですけど、この面白さを翻訳で伝えるのは難しいなぁと思います。あと、ガンダムはシリーズが有りすぎて、薦めるのが難しいよね。若いアメリカ人に初代の三部作を薦めるのはビジュアル面で躊躇するし。で、ビジュアル面ではOKだけど、逆シャアは単独で見ても理解するのは難しいだろうし。ユニコーンから薦めるのは邪道だよな、とか…。

 

で、これだけ日本のアニメが全世界で人気でも、偏見というのはあるものですが。この前、うちのボスと話していたら、「日本のアニメってポルノでしょう?」なんて言われて、思わず絶句したよ。ヘンタイアニメしか知らないのかよ、と唖然。「それは偏見です」とはっきり反論したけどさ…。宮崎駿のことも知らなかった人だから、まあお察しだ。日本に偏見を持っている人がボスで、そんな人と一緒に仕事しなければいけない私はつくづく不幸だ。