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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

映画「天気の子」(2020)

アマゾンでデジタルポイントが貯まっていたので、新海監督の「天気の子」(2020年)を見ました。アマゾンのプライムで、急ぎじゃない配達を選ぶと、デジタル配信に使える小銭(1.5ドル相当)がもらえるんです。

新海監督の作品で見たことがあるのは「雲の向こう、約束の場所」、「秒速5センチメートル」、「君の名は。」くらいで、正直あまり得意ではないのですが、話題作はチェックすることにしています。新作のすずめはまだ米国で配信されていないので、未見。

 

「天気の子」はよかった部分と気持ち悪い部分が混在していてなんとも評価しにくい。俗にいうセカイ系の発展形としては、興味深いと思いました。

 

  • よかった点

映像はいつもの通り美しいですね。東京の街の描写も好きだし、最後の水没しかけた東京の街並みも好きなビジュアルだ。(廃墟が水没したイメージは大好物!)

どことなくラピュタを思わせるな。ボーイミーツガールの王道というだけではなくて、ホダカがヒナを助けるために積乱雲をつっきって、空中の庭園のようなところでヒナに再会するあたりが、ラピュタに突っ込んでいくシータとパズーみたいだなと思ったり。

微エロ要素は控え目。前作の「君の名は」がめちゃくちゃ気持ち悪かったのは、三葉との体の入れ替わりとか口噛み酒とか、あの手のエロ要素が本当にダメだった…。女子高生へのエロ目線が気持ち悪いんだ。

今作も胸の谷間とかあったけど、大学生の夏美相手だし、ギリギリ許容範囲。三人で泊るのがラブホというのもそれらしいけど、とりあえず凪もいるしOKかな…。エロ要素が気持ち悪いかそうでないかの区別ってすごく個人的なんだけど、今回は私的に許容範囲内だ。(でも、アメリカだとこういうのにうるさい大人はたくさんいるから、アメリカ人の一般人にすすめられるかというとやっぱり無理だと思う。なんでこういう文脈上不必要なエロ要素をぶっこんでくるんだろう…)

 

あとよかったというわけではないのですが、面白かったのが、児童相談所が悪者扱いだったこと。現実、あまり機能していないという気もするので、仕方ないのかなぁ。予算も人手もなさそうだし。でも、あまり無能に描かれるのはちょっと可哀想。(こういうのを見て、児童相談所は無能だから、相談しないという選択肢が現実的に広まるのはあまりよくない気もする)

頼れる人のいない貧しい子どもたち(と大人たち)が集まって疑似家族を作り、児童相談所や警察に追われるのって、是枝監督の「万引き家族」を思い出しました。あの映画は後味が悪かったけど、こっちはハッピーエンドだから後味は悪くないね。そもそもホダカ君はなんで家出したの? 貧困や虐待、いじめなどの問題を抱えているようには見えなかったから、反抗期の少年のひと夏の思い出って感じかな。(それは別にいいんだけど)

 

  • セカイ系の発展形?

ヒナが犠牲になって東京を救う必要は全くないし、ホダカの選択は全く問題ないと思う。核兵器のスイッチを押す/押さない、とかいう選択ではなく、天気という因果関係がはっきりしないものなわけだし。

一人の少女が世界の命運をにぎり、結局犠牲になって世界は救われるけど、人々はその犠牲を知らない、というエンディングはセカイ系でありがちだよねぇ。TV版のまどマギがよい例かな。

少女とセカイを天秤にかけ、少女を選んだ結果が、「雨がやまない」というものなら、悪くないんじゃない? 気候は変動するものだし、人も社会も気候に適応していくものだから。須賀の「世界なんてそもそも狂っている」というのはその通りだ。

これがセカイ系に対する一つの回答なのだとしたら、

1)少女が犠牲にならず、世界が変わってしまっても、人も社会もそれなりに適応して生きていくものなのだ。(だから、少女は犠牲になる必要もないし、世界を選ぶ必要もない)

という考えは真っ当だと思う。

ただ、その一方で、

2)天気の巫女を失ったせいで、世界は変わってしまったが、人々はそのことに気づいていない。(世界の隠されたメカニズムに人は気づくことがないのだから、犠牲になっても無駄)

という考えになると、まさしく陰謀論じゃない? 

DSだの某アノンだのと、陰謀論が真っ盛りな今日この頃ですが、陰謀論者に餌を与えないようお願いしたいところです。

 

  • 気持ち悪かったところ

どうしてもダメだったのが、音楽の使い方。もともとJpopが好きじゃないというのもあるのですが、劇中曲がどれもこれも「not for me」だった…。これはMusic Video?と思えるくらいにふんだんにRADWIMPSの楽曲が使われていて、かなり苦痛だった。しかも楽曲の使い方が陳腐だと思います。一番、げんなりしたのは、ホダカが警察官たちに囲まれて、銃を撃った瞬間にエモい感じの曲を流したあの演出。(で、ホダカが逃げ出して、屋上に走り、鳥居に飛び込んだ)この一連の音楽とシーンの演出はあまりにもありきたりで、すごくチープに感じて、正直萎えました……。

MVと割り切って見られればそれでよかったのでしょうけど。

音楽に関しては、私自身が結構特殊な趣味をしているという自覚があるので、あまり批判するのはどうかと思っていましたが、もうちょっと使い方を工夫して欲しかった。エモい音楽というのも流行りすたりがあるし、音楽も映画を構成する重要な要素なので、MVとまで言えるくらいの過剰さが気になりました。

お若い方にはうけているのでしょうし、単なる中年BBAの戯言ですが!

 

すずめはこちらでいつ配信になるのかな。配信になったら見てみたいです。