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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

沼で溺死中なので、一旦感情を整理することに

[追記:このエントリーはハンジさんが女性だという解釈のもとで書いています。ハンジさんが女性であるという解釈に批判的な方はスルーしてください。ハンジさんの性別に関する解釈がいろいろあることは存じておりますし、皆様各自の解釈を尊重いたします。が、私のハンジさん性別解釈に関する苦情は受け付けておりません]

 

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先週、進撃の原作を23巻から最新の33巻まで読んで、どっぷり落ち込んでます。とにかくこのどうしようもない感情を吐き出さないと、沼で溺死中の私が這い出せそうもない。私はいつも書くことで感情を昇華するので。

ということで、以下ネタバレ全開のどうでもいい感想。某キャラのせいでぐちゃぐちゃになった自分の感情を整理するためのメモのようなものなので、全く混沌とした書きなぐりです。

 

ネタバレ全開OK、感情の殴り書きでもOKな方のみ、以下どうぞ。

 

 

 

なぜハンジの死にここまで衝撃を受けたのか、と自問自答しています。

私は先月、アニメ版をなんとなく見始めてからどっぷりと沼にはまったんですが、ハンジは明るくて好奇心旺盛でギャグ担当だけど、戦闘も指揮もできるイイキャラだね、ぐらいの感覚だったんですよ。それでも女性キャラの中では一番好きなキャラではあったんですが。(そもそも私は、現場指揮官の年増女性キャラに弱い…)

ただ原作のマーレ編を読むと、団長として苦悩するハンジがずっと描かれていて、現実と理想の間で葛藤し、若い部下たちの造反に遭い、民衆からも批判されて、苦しみながら弱さを吐露して、でもそれでも諦めずに信念を貫いた姿に、私の心が鷲掴みにされたって感じです。

初期:巨人の謎を解明しようと突拍子もつかない行動を繰り返す変人(&ギャグ担当)

中期:現場で戦闘にも参加するけど作戦指揮を担当している聡明で頼れる分隊長で、エルヴィンの後継者

後期:組織のリーダーとしてパラディ島を救う決定的政策を見出せず、理想と現実の間で悩み、エレンの暴走(&フロック一派の造反)を招きひたすら苦悩する

一人の女性のキャリアとしてよく出来ているよね。(作者が意図していたかどうかは別として。恐らく当初はただの色物キャラとして出したんだろうけど、意外に人気が出て&個人的に思い入れができて、ここまで引っ張ったって感じだろうか)

私は、初期の明るく無邪気に巨人への興味を丸出しにしていたころのハンジが好きだったんですが、後期ではその無邪気さを失い理想と現実に苦悩した描写があったからこそ、ハンジに恋をしたのかも。逆説的だけれど。だからこそ、彼女の最後の頃、ピークちゃんに好奇心丸出しでアプローチをかけて、ピークちゃんにウザがられるのを見て思わず涙したのよ。無邪気な子どものような振る舞いが昔のハンジのようで。そして、最後、壁の超大型巨人に一人で特攻をかけたとき、やっぱり巨人は素晴らしいって呟くのも、巨人大好きで生き生きとしていた昔の姿を思い出させて胸がつまった。最後の最後で、子どものように巨人に興味津々だったハンジらしさを取り戻して死んでいったというのが、本当に泣ける。団長としての苦悩がハンジから明るさや無邪気さを奪っていたように見えたけど、その根っこの純粋な部分はまだその中に存在していたことに胸を締め付けられたよ。

ハンジが炎に焼かれて地上に落ちた後、エルヴィンたちと再会するところですが、あれは死に際に見た夢だろうねぇ。さすがに、この漫画で死後の世界が描かれるとは思えないし。そのあたり、意図的に曖昧にしているのは、作者様による読者に対するせめてものサービスなのか、無駄死させたハンジに対する贖罪なのか、よくわからないけれど。

 

で、特攻の前にアルミンを第15代団長に指名したのがとても複雑な気持ち。あれほどハンジは団長の責務に苦しんだのに、それをアルミンにも継がせるのかって。アルミンはただでさえも、超大型巨人として、エレンの幼馴染として、エルヴィンの生き代わりとして、多くの使命を背負っているのに、これ以上背負わせるのは可哀想。ハンジは、最終的に調査兵団団長としての矜持が、自身を立ち上がらせて、人類に心臓を捧げるという使命を全うしたけど、アルミンは団長という立場がなくてもやるべきことはわかっていると思うんだけど。ハンジは、古き良き調査兵団の、リヴァイと並ぶ最後の生き残りだし、アルミンよりもずっと長くそこにコミットしているけど、アルミンはそこまで調査兵団にコミットする必要はないんじゃない? それに、組織としては事実上解体してるし。ただ、最後にハンジが、リヴァイは下っ端だからこき使ってやってくれって言っていたけど、案外冗談じゃないかも。リヴァイを従わせなければならない事態になったら、団長の肩書はその保険になるのだろうか。例えば、ジークを討つことしか頭にないリヴァイに対して、アルミンが、ジーク殺害以外のミッションをやらせるために、団長命令を発動するとか? でも、そんなアルミンをめっちゃ見てみたい気もする……。

 

ところで、ハンジに関しては家族関係やバックグランドが何一つ描かれていないんだけど、私はその点をとても好意的に受け止めています。

王家の血やアッカーマンの血、父と子、兄弟などの血縁関係が、主要なキャラにはそれぞれ描かれていて、それが各人の呪縛になっている。でも、ハンジには血の呪縛がなく、純粋に自らの夢や希望だけで行動している点が彼女を誰よりも自由なキャラに見せていると思う。もしかしたら諌山先生の中で裏設定があったり、後付けでバックグラウンドが出てくるかもしれないけど、そうならないことを願っている。血の呪縛からではなく、自身の夢や希望から調査兵団に参加しているなら、ハンジはまさしく純粋に調査兵団の理想を体現していたのかもしれない。

でも、現実は厳しかった。ただ思うんだけど、調査兵団の団長が外交、国防、科学技術開発の全てを担当するのは無理だよね。ずっと鎖国していて、世界情勢も科学技術も何もかも一から学ばなければならない状況なのに。パラディ島の女王制度は実権がなく、軍が政権を担当しているのはわかるけど、統治国家として体を成していないわけで、ハンジ一人の無能さが責められるのはフェアじゃないと思う。ハンジの失態は、フロックたちがイェーガー派として造反した点かな。調査兵団内部を把握できていなかったのは、致命的なミスだったと思う。(リヴァイも兵士長として内部を把握できてなかった責任があるけど、最終責任は団長が負うべきだからね)

 

ところで、私がハンジに惚れた点の一つに、ジャンたちに対して、

「虐殺はダメだ。これを肯定する理由があってたまるか」

と断言したこと。大人として若い子たちに良心を見せてくれてありがとう。

たとえそれが理想論であろうと、人として最後に守るべき倫理がある。譲ってはいけないラインを断言してくれて、本当にありがとう。

地鳴らしって、ガンダムでいう人類粛清のためのコロニー(隕石)落としでしょう? (いきなりガノタ視線ですみません。)人類粛清は否定すべきで、アクシズ落としは阻止しなきゃいけない。私はジオンに肩入れしている節があるけど(宇宙移民者の独立は支持しているから)、主義には全く賛同していない。ジオンの選民主義も独裁も人類粛清も肯定しない。ただ、ハマーン様に愛を注いでいるのは、彼女の孤独と哀しみに寄り添ってくれる人がいなかったから。彼女の思考や行為を肯定は全くしないけど、彼女の孤独や心の傷を理解したいと思っているし、救われて欲しいと今でも思っている。

でも、エレンはみんなに愛されているんだよ? ミカサちゃんはあんなひどいこと言われたのに、一緒に罪を背負うって言っているし、104期のみんなも帰ってきてって言っている。ハンジを地鳴らしで失ったばかりのリヴァイですら、ケツに蹴り入れるだけで許すなんて殊勝なこと言っているんだよ。

エレンとハンジの決別は本当に悲しい。ハンジは最後までエレンに対して愛情を持っていたのにね。リヴァイが、ハンジのことを「巨人とは片想い」なんて揶揄していたけど、本当にその通り。エレンに対するハンジの思いは全く伝わらなかったし、彼の起こした地鳴らしの巨人によって殺されたのに、それでも「エレンのバカ」って言いながら愛情を捨てていなかった。エレンは未来を予知できるけど、さすがにその死までは予知していなかったと思いたい。

勿論、エレンの絶望や苦悩もよくわかるよ。どうしても仲間を守りたいっていう純粋な思いがあるのもわかる。フロックたちも同じ。島を守りたいっていう純粋な願いがあるのはよくわかる。でも、それでも、人類虐殺はダメなんだよ。エレンは救われてほしい。彼の苦しみを終わらせてあげてほしいと思う。彼だって人を虐殺したくないし、自らの止められない行為に苦しんでいるのだから、誰かが止めてあげてほしい。それが最終的にはエレンのためになると思いたい……。

私が驚いたのは、検索していて、この地鳴らしを肯定している人がたくさんいたこと。(若い子たちが多いのかな。)すごくショックでした。そして、地鳴らしを肯定する人は、否定することを理想論だと冷笑する人が多かったことにもショックでした。まあ、現実の世界でもそうなんだけど、0か100の思考で物事を考える人が多いことに驚いているよ。100の理想が手に入らないからって、それを否定して、0を選ぶ必要なんてないでしょ。60でも70でもいいから、理想の100を目指して戦い続けるべきだと私は思うんだ。だから、ハンジがフロックの死を看取ったときに、彼に対して

「確かに君の言うとおりだ。でも、あきらめられないんだ。今日はダメでも、いつの日かって…」

という言葉に涙しました。まさしくその通りだから。私自身の個人的な思いと一致して、すごく嬉しかった。この分断した社会で、若い学生たちに、私の思いが届いているのか、いつも悩んでいるんだけど、それでも理想をあきらめないで、少しでも伝えるようにしなくちゃと思っているのよ。この世界には色々な人がいて、色々な現象があって、わからないことだらけだけど、既存の枠組みから離れて、自分の思考で世界を見よう、わかるようにしようって学生たちに指導しているけど、いつもくじけそうになる。でも、少しでも理想に近づけるように頑張るよ。

マガトとシャーディスは自爆する必要はなかったと思うけど、大人として責任を果たして退場したんだね。マガトが殿を務めた段階で、ハンジは次が自分の番だとはっきり自覚したはず。いつ、そのカードを切るのか、時間の問題だけで。ハンジがキース・シャーディスと生きている間に和解できなかったのが残念だね。

フロックたちが、キースやハンジなど元上官に対して侮蔑的に振る舞ったのが、すごく悲しかったなぁ。若い子たちの革命集団は先鋭化しがちであるんだけど。文革の紅衛兵みたいだと思ったり。文革ものの中国映画によくある、年長者を若い紅衛兵がつるし上げるシーンを見ると、いつも胸が苦しくなんだけど、なんかそんな感じ。

 

マーレ編を読んでいると、エルヴィンの不在がホントに痛い。一番つらかったのは、ハンジとアルミンの二人だけど、この二人が苦悩を分かち合うことができなかったのも二人の苦悩を深めた一因かなぁ。ハンジは団長として部下に苦悩を見せるわけにいかないし、アルミンは、ハンジがエルヴィンを生き返らせるべきだと思っていたことを知っているから、弱音をハンジに吐けない。そして、フロックとリヴァイもあの無謀な特攻の後遺症に縛られている。リヴァイはジークを仕留めるという誓いにがんじがらめだし、生き残ったフロックはPTSDで悪魔教の信者になってしまった。

でも、仮にアルミンを死なせてエルヴィンを生き返らせても、エレンとミカサは反発して兵団を離れることになっただろうし、どっちにしてもエレンはこうなる運命だったような気がする。ただ、エルヴィンがとった特攻作戦はあまりにも多くの人に深い傷を残してしまったと思う。すべき作戦ではなかった。

「白夜」で、ハンジはエルヴィンの経験と統率力がまだ必要なんだと叫んだけど、本当にその通りで、エレンが人類を救うのはアルミンだと叫んだけど、これもそうなりそうな気がする……。

本当に、死んでもエルヴィンは酷い男だ。(でもそこが好きなんだけど)

私はアニメ初見から、エルヴィン・リヴァイ・ハンジの三人の関係に心を魅かれていたんだけど、その三角関係とは別に、各人同士の関係もあるのだなあと思ったよ。

エルヴィンとハンジ

ハンジが炎に焼かれて落下した後、最期にエルヴィンたちと再会した風景は、死に際にハンジが望んだ夢だとしたら、どんだけ団長の仕事が辛かったのか、と。よっぽどエルヴィンに認めてもらいたかったんだね。そして愚痴を聞いてほしかったんだね。一人で苦悩しているシーンが多かったけど、リヴァイにすらあまり愚痴をこぼせなかったのかも。リヴァイとは対等な戦友でありたかっただろうから、ハンジにとって忌憚なく甘えられるのがエルヴィンだったんだろうねぇ。みんなの妹分としてかわいがられるハンジちゃんに戻りたかったんだね。で、エルヴィンもハンジに対しては頼れる兄貴のような存在でいたかったんだろうな。だから、弱みを見せるのはリヴァイだけで、リヴァイもそれをわかっていたから、エルヴィンの男としてのプライドを守ってあげていたんじゃないかな。ウォールマリア奪還作戦の前に、リヴァイがエルヴィンに留守番していろと迫ったシーンがあるけど、リヴァイはハンジを追い出して、わざわざエルヴィンと二人だけにしたのは、エルヴィンがハンジの前では本音を話さないと思ったんだろうね。ハンジに対しては悪い意味で女性扱いして、本音を話さなかった(話せなかった)のかね。妹のようにかわいがっている部下の前ではいつも頼れる男でいたいっていうプライド。ハンジもそれを求めていた節があるから、お互い様ではあるんだけど。(だから、その憧れを壊されたキースに対して激怒した)

 

リヴァイとハンジ

正直、いきなりこの二人の関係に微妙な色が混じって困惑しています。エルヴィン亡きあと、たった二人残された古参兵であり、誰よりも信頼できる戦友として、二人の強い絆に心を打たれたんだけど。ただ、ハンジが一人で苦悩するシーンが多く、リヴァイはジークを殺すことしか頭にない感じで、どうにもやりきれない。

森の中で意識のないリヴァイにぽろっと弱音を吐いてばれて赤面するシーンはハンジがあまりにも可愛くて健気で、泣けた……。でも、なんでこの期に及んで、ハンジの淡い恋心のような描写を入れてくるの? 死亡フラグを立てるためなのか、それともリヴァイのヒーロー性を高めるためなのか?? (意外に人気キャラになってしまったハンジと違って、リヴァイは元々から人気キャラにすべく計算されて作られたと思っているんだけど、女性キャラから想いを寄せられているという描写を入れてリヴァイを持ち上げようとしてる? これは穿った見方すぎるかなあ)

この手の強くて凛々しい女性指導者が、心の柔らかな部分に、戦友への淡い恋心を抑え込んでいたというのは、私の個人的な好みにドンピシャではあります。で、その淡い恋心を封印して信念を貫き、死ぬというのは、両片思い・悲恋エンド好きな私の琴線に触れます。リヴァイがどう思っているのかはっきりした描写がないのがむかつくけど、ハンジが可愛かったから、まあいいや。リヴァイも憎からず思っているんじゃないかねぇ。三十路がもだもだして想いを切り出せないプラトニックラブなんて私の性癖ドストライクですわ。

最後に一人残されたリヴァイが辛いねぇ。悲壮感に溢れていて正直見ていられない。最後、ハンジが地ならしの超大型巨人相手に一人で奮闘して、炎に焼かれて落ちていく様を104期の子たちは泣きながら見届けてくれたけど、リヴァイは見ることすらできなかったのが、彼の傷心を表しているようで悲しい。ハンジもリヴァイに死に際を見届けて欲しかったと思うんだけど、彼の憔悴した様子を見ると、精神的に限界かな。可哀そうで見てられない…。次は自分の番だと思っているんだろうけど。

ハンジの死はできる限りの尊厳を保った上での死の描写で、それだけは本当に作者様の配慮に感謝したいです。炎に包まれて落下する姿ですら悲しいくらいに美しかった。地面の黒いシミが遺体の跡だろうけど、その程度で済んでよかった。ハンジが人の手で拷問されるとか、丸焦げ死体とか、巨人に顔をつぶされるとか体を引きちぎられるとか、そういうんじゃなかったので、まだ綺麗に死ねたのがわずかな救いではあるんだけど。でもやっぱり悲しい。

 

こんなに長々と書いてしまったけど、そろそろ感情を切り替えたい。読んでくださってありがとうございます。

 

本誌に追いつこうかどうか、まだ迷っています。ハンジが死んじゃって気持ちが抜けちゃった。アニメを見ながら34巻を待とうかなという気にもなっています。どうせ次に死ぬのはリヴァイだろうし…。

あー、もう一つ寝ればアニメのS4 Ep7だ。ハンジとオニャンコポン(大好き!)も出てくるかな。でも、サシャが……。うう、見たくないなぁ。