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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

ジブリ美術館/「毛虫のボロ」

日本での夏休みを満喫してきて無事帰国。今回は比較的長い休暇だったので、念願のジブリ美術館に行ってきました。

以下雑感。ネタバレ注意です。

 

まず、ジブリ美術館の感想を一言で表しますと、

 

「うわ、めっちゃ少女趣味」 

 

よく言えばおとぎ話のメルヘンな雰囲気で可愛らしいんですが、やさぐれたBBAの私にはちょっと酷な空間です…。

 

一番気に入ったのは常設展示の「映画の生まれる場所」。宮崎さんのラフ画がいたるところにあってそれを眺めているだけで幸せになれます。「ジブリ」なので、私の好きな宮崎さんの初期の監督作品はほとんどないのが残念。かろうじて映画版のナウシカのスケッチがあるくらい。目を皿のようにしてみていました。私の愛するクシャナ殿下がなかった……。エボシ御前のスケッチはあったのに。

この展示室は映画の製作過程ごとに小部屋に分かれていてとてもわかりやすいです。宮崎監督ご本人による説明書きもあって楽しい。でもこれってセル時代のアニメ制作過程なので、CGが導入されつつある現在ではやはりロストテクノロジーになっていくんですかねぇ。セルアニメが好きなので寂しいですね。

 

企画展示はジブリ映画の「食」でした。ジブリ映画には確かにおいしそうな食べ物がいろいろ出てくるので、いい企画ですね。テクニカルな説明(たとえばソーダの瓶や泡、液体をどんな風に色で描き分けているのか)はとても勉強になりました。あと、トトロのメイ&サツキの家の台所とラピュタのタイガーモス号のキッチンが再現されていました。タイガーモス号の厨房再現はなかなか希少かと。

でも、私的に一番ツボだったのは、宮崎監督が以前機内誌のために描かれたという、機内食についての蘊蓄イラスト!

戦時中の軍用機から戦後の民間機まで、機体の紹介とともに機内食の変遷について描いておられるんですが、もうこのマニアックさが大好き!飛行機の説明がとても細かい。宮崎監督の何が好きかって、リベラル思想のミリオタというのがたまらなく好きなんです。飛行機や各種メカの描写、戦闘描写(漫画版ナウシカのサパタ戦は凄いの一言)にすごく業を感じます。彼の思想はリベラルで非戦主義の筈なんですけどね。未来少年コナンのハイハーバーや風の谷の描写を見ていると原始共産主義的コミュニティを理想とされているのかなと思います。

この機内誌にも、日本軍の機内食弁当が貧弱になって日本の敗戦が近くなったことをきっちり書いていらっしゃるのはさすがです。戦後民主主義的知識人のアニメ業界における最後の大物だと思いますので、宮崎監督にはもっと若い人に向けて発信し続けてほしいです。でも、でも、そんな宮崎監督が隠しきれないほどに飛行機や兵器のフェチだというのがねぇ、すごく好き。もう、圧倒的に共感しています。

 

屋上にあるラピュタのロボット兵です。これが見たかった!天気が悪かったのが残念です。

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草に囲まれているのですが、これもそのうち苔むしてくるのかしら?

ラピュタのロボット兵が大好きです。シータを助けようとしたり、お庭の番をしているのとか、なぜか泣けてくる。知能を持ったロボットが人間を助けようとするのに弱いのかも。(当然、バトーさんを助けようとしたタチコマ@攻殻にも泣きました…うう)

 ラピュタは長い間見ていないので、もう一度見直したいねぇ。

 

 

(以下、「毛虫のボロ」のネタバレです。)

今になってジブリ美術館に行こうと思い立ったのは「毛虫のボロ」を見たかったから。

毛虫の目からみた世界を描いていて、セリフなどはなく、「ぶぶぶ」とか「ぶー」とかオノマトペアのみです。

このオノマトペアがなかなか上手いなぁと感心していたら、エンドロールで「タモリ」とあったのでびっくり!あのタモリさんだったなんて。さすがの芸達者で納得です。観客の半数くらいは外国人らしい方たちでしたが、タモリの名が出てどよめいていたのはさすがに日本人観客(それもいい大人たち)だと思いますが。セリフがないので、日本語のわからない方たちでも楽しめるのはいいですね。あと、毛虫がフンをするシーンはお子様たちに大うけでした。

 

虫はどれもアニメ的にデフォルメされているので虫が嫌いな私でも楽しめました。(自称ナウシカ好きな人間の言うことではないですね、スミマセン)

あと、私がワクワクしたのは毛虫の敵、ハチ!これが戦闘ヘリっていう感じでなかなかクールでした。思わず攻殻のジガバチを思い出しましたが。

もっと色々メカっぽい昆虫を出してほしかったな・・・。(でも、それじゃあ宮崎監督の本意とは離れるのでしょうけど。)

 

途中、俯瞰の視点に変わって、小さな神社の鳥居が見えたりしつつ、ここでようやく毛虫の世界が人家の中にある畑だということがわかります。で、幼女登場!毛虫はこの女の子のスカートにくっついて、女の子の家に入るんですが、玄関先で女の子のお母さんが毛虫に気づくんです。でも、殺すんじゃなくて、そっと葉っぱに載せて、団地の通路から下の茂みに放してあげるんですよね。優しい世界だ・・・。虫をみたら速攻殺す私は反省しろということですか。

 

人間が出てきたところで私の興味は俄然アップしました。まず、生協のトラックが出てきて、立ち去るんですが、そのあと、お母さんと近所のお母さんは箱を抱えている。つまり、これは昔ながらの生協共同購入システムですね。でも、今どきの生協ってほぼ個別宅配だと思うんですよ。時代背景は70年代か80年代ってところでしょうか。この時代なら東京近郊にも畑もまだ残っていたでしょうし。

生協が出てくるのも、宮崎監督らしい、というか、なんというか。

 

ジブリ(宮崎監督)は相変わらずノスタルジック志向だな、と見ながら思わず苦笑してしまいました。

 

最後に、毛虫が女の子のお母さんから放されて、最後にタンポポ?のような黄色いお花に着地するんですが、ここで劇判音楽が初めて鳴るんです。すごくドラマチックな瞬間なんですが、この音がいかにも久石さんっていう感じのメロディです。で、エンドロール。最後の最後でリリカルになるなんて、私的には「してやられた」という感じです。