今、ようやくアニメ版「映像研に手を出すな」を見始めたのですが、「未来少年コナン」が第一話で出てきて感激!(ということで、2年ほど前に書いていて途中放棄していたエントリーの体裁だけ整えてアップします。内容は殴り書きクオリティーなので許してね)
「未来少年コナン」大好きで子供のころから何度も見ているんだけど、何回見ても面白い。宮崎監督の作品で、漫画版「ナウシカ」の次に好きな作品だわ。
勿論、モンスリー女史が子どものころから大好き! 私の大好物である「過去に訳アリの強気で美人で有能な女性指揮官」という系譜にドンピシャ。
ただ、ダイス船長は、子どものころ嫌いで、二人が結婚したとき内心がっかりしました。(おそらく、ラナへの猛アプローチが子ども心ながらに気持ち悪かったんだと思う。)
でも大人になってみると、気が強くて有能な美人に飄々とした昼行灯なオッサンという組み合わせは非常によろしいかと。
なので、南雲隊長には後藤隊長を猛烈にプッシュし、クシャナ殿下にはクロトワをお勧めしております。(でも正直、殿下にはナムリスも捨てがたい…)
もっとも、ダイス船長を後藤隊長やクロトワと同列に扱うのは、特に後藤隊長に申し訳ない気がして、あんまり気がすすまないけど。
で、モンスリーとダイスの関係とは別に、モンスリーとコナンの関係がめっちゃ好きなんですよ。
ひねくれた訳アリお姉さんと真っ直ぐで面倒見のよい年下君という関係っていいよね……。
コナンはラナ一筋だし、モンスリーはダイスと結婚するので、さすがにオネショタ妄想はしないんですが、モンスリーとコナンの関係は素晴らしい「訳アリお姉さんと少年」だと思います。
ちなみに、モンスリーはコナンの強さに早い段階から注目していて、手元で育ててみたいと思ったりするのが、ジュドーのニュータイプ能力の高さに興味をもって、ネオ・ジオンに何度も勧誘するハマーン様と同じですな。
で、コナンの全エピソードの中で群を抜いて好きなのが第19話「大津波」の回。
物語的にターニングポイントになる回ですが、モンスリーの魅力が詰まった回でもあるので、モンスリー好きにはたまらないです!
まず、前半部分、モンスリーの指揮官としての有能っぷりを堪能できます。ガンボートが沈められても冷静に振る舞い、動揺する部下たちを一気に安心させるくだりは、さすがです。ハイハーバーの村民たちへの冷酷な振る舞いも、まあ侵略者としてはそうだよね、という指揮っぷり。宮崎監督って本当にこの手の女性現場指揮官を描くのが上手いよね。
その中でも、まず紅茶の味に気づくところがポイント。ガンボート爆破のゴタゴタ中にも関わらず、余裕があるところを感じさせます。さらに、本物の紅茶の味がわかるというところで、実はモンスリー、育ちがいいんじゃないのか、と伏線になります。
そして核心パートですね。
中庭の描写がすごく好きなんです。
勿論、指揮官として士気を保つために部下の前では絶対疲れた表情を見せないけど、本当は疲れているのね。
花と緑と光のあふれる中庭で、封じていた辛い過去を思い出すのが美しい。偶然現れた犬を見かけて、犬に思わず「ムク」って呼び掛けて、過去の回想へとつながるのですが、このシーンが本当に素晴らしい。
1)いかにも駄犬って感じの雑種っぽい犬
非常にいい味だしています。駄犬大好き!かわいい!
2)そんな駄犬にも相手にされないモンスリー
彼女の脳裏にこんな筈じゃないという思いがよぎったはず。愕然としたに違いない。この犬は大好きだったムクではないと悟ったのかもしれないし、犬にすら嫌われる自身がハイハーバーでは侵略者であり、憎まれる存在だと思い知ったのかもしれない。
3)犬がまだ生き残っている
モンスリーのセリフから、インダストリアには犬が生き残っていないということがわかります。大変動で絶滅した種族がここに残っているというのはハイハーバーが人類の「箱舟」だったということ。その「箱舟」の中にある「中庭」が下界から遮断された桃源郷のような美しさとノスタルジアを湛えているのが非常にリリカルです。
で、中庭のベンチに座り込んで過去の回想に浸っているモンスリーをこっそり見ているコナン。壁を乗り越え、ひょいっと現れても、まだモンスリーはコナンに気づかず。コナンはモンスリーの異変を感じ取ってじっとモンスリーを見つめている、この一瞬の空白が好き。モンスリーはよっぽど疲れているのね、とも思えるし、コナンはモンスリーを敵と見做していないのだな、ともわかるシーン。
で、ふっとコナンに気づいたモンスリーが「ラナを助けてくれた?」って聞くんだけど、この優しい声が最高! モンスリーの本当は優しい一面が初めて劇中に現れた瞬間。
ここでモンスリーはベンチに座っていてコナンは立っているので、二人の視線が同じ高さなのもポイント。二人の対等な関係を表しているみたい。描写が細かいねぇ。
で、モンスリーが少し笑って「本当にあなたって子は」と感嘆してから一転、「でも手加減はしないわ」と発砲するのはすごくモンスリーらしいね。コナンの能力を高く評価しつつも、インダストリアの指揮官としてやるべきことは冷静にやるっていうのがクール。情があるけれど、情に流されるわけでもない、いい指揮官だね。
でも、発砲して一発も当たらなかったのは、本当はわざと外していたんじゃないかな。コナンに対する警告っていう感じで。実際、発砲音を聞いて駆け付けた部下たちに追っても無駄だ、と止めていたけれど、これも故意に逃がしたんじゃなかろうか。まあ、コナンの身体能力を考えれば、彼らが追いつけるはずもないけど。
あと、これは「インダストリアの弾は当たらない」という皮肉の伏線かもね。(で、後で当たる。)
この後、大津波が発生。このとき呆然として(PTSDで?)動けないモンスリーをダイスが抱えて避難させるっていうのは、後の二人の関係を示唆するみたいでいいね。のちにダイスが怪我をしたモンスリーをおんぶしたとき、重いと文句を言っていたけど、この津波の時はダイスが平気で抱えていたねぇ。火事場の馬鹿力ってやつ?
ところで、なんでコナンはモンスリーを信頼しているんだろうか。今までの言動を考えれば信頼できるほうがおかしいし、ハイハーバーの大人たちが反対するのは当然だよね。ここはコナンの「直感」としかいいようがないねぇ。物語では「なぜコナンがモンスリーを信じたのか」という点に関して特に描写がないからね。
結局、ラナが鳥と話せたり、テレパシーでコナンに思いを伝えられるのと同じで、モンスリーの本来持っている優しさや善性をコナンの人間離れした能力が無意識に察知したと捉えればいいのかな。 (ガンダムでいうニュータイプ能力みたいなもの?)
コナンとモンスリーの間に理屈抜きの(得体のしれない)繋がりがあるってことですね。エモい!
で、次に好きなのが、第21話「地下の住民たち」。モンスリーがレプカに反逆して、コナンを逃がし、重傷を負うシーン。名セリフのオンパレード。武器を捨てようとレプカを説得しようとして、インダストリアのことを鉄とプラスチックの檻だというんだよね。(で、レプカに顔を足で踏まれるのがすごく嗜虐的だ……)
「インダストリアの弾もあたることがあるのね」ってセリフがめっちゃ好き!こんなときに自虐できるだけの余裕があるのはさすがモンスリー! コナンを安心させようとしてもいるのかな。もちろん、メタな意味で、劇内で(コナンたちに)弾が当たらないことの皮肉でもあるんだけど。
ここで、怪我をしたモンスリーにコナンが「抱いていってやるよ」と言うのが、めっちゃスパダリ! 少年が大人のお姉さんに対して対等な顔を見せる瞬間が好きなんだな。でも、「まだやることがある」といってコナンを一人逃がすモンスリー。この二人が、大人と子ども、男と女という力関係で微妙に揺れ動きつつ、対等な関係を築いていくのがすごくいい……。
「庭」についてエントリー続く(はず)。