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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

中国連続TVドラマ「如懿伝」(2018)雑感4

中国連続TVドラマ「如懿伝」全87話、感想の続き!

ダラダラ続けてすみません~。

 

 前回は、イケメンご紹介したので、今回は女性陣から。

banana-snow.hatenablog.com

 

6.きっつい個性的な女性陣!

  • 皇太后

前作「甄嬛伝」に続いて、今回も甄嬛は勝ち組。今作の「如懿伝」では皇帝をも凌ぐ勝ちっぷりを披露。その有能さと狡猾さを見せつけてくれました。もっとも前作の嬛嬛と今作の皇太后にどれほど継続性があるのか疑問ではあります。例えば、「甄嬛伝」では嬛嬛は猫が大の苦手という設定でしたが、今作の「如懿伝」では皇太后が猫を飼って可愛がっているというシーンがありました。原作者の方が脚本に入っているので、整合性のミスではなくて、故意だと思いますね。前作とあえて矛盾する描写を入れて、二人の別人格性を表現するという戦略ではないかな。なので、あまり前作の描写と繋げて考えないほうがいいかも。

まあ、「甄嬛伝」に出てきた青櫻も今作の青櫻(如懿)とは全然違っていたからね。あちらの青櫻は不美人(失礼!)で傲慢で、叔母の皇后にも孝心がなかったからねぇ。

で、今作「如懿伝」の皇太后は当初如懿にキツクあたっていて、結構陰険にいじめるんですが、冷宮で暗殺されかかったところを如懿に助けられたあたりから、少しづつ如懿に対する態度が変わっていくんですね。決定的だったのは、蒙古に公主を嫁に出さなきゃいけなくて、皇后の富察氏が生んだ璟瑟か皇太后が生んだ恆媞かどちらを嫁がせるかもめていたときに、如懿のアドバイスで皇后の生んだ璟瑟(和敬公主)を嫁がせることに成功! 皇太后は勿論自分の娘を蒙古なんかに嫁がせたくないのでこれはもう大勝利。

他の妃たちは皇太后に忠誠を見せ、その忠心と引き換えに皇太后から庇護してもらうという力関係があるのですが、如懿と皇太后の関係はちょっと違うかな。ライバルのような緊張感がありつつも、互いに相手の力量を認め合う関係という感じですね。好きだな、こういう関係。

後半は皇太后は如懿の理解者として、暴走する皇帝から時に擁護をしてくれもしたんですが、最後の方はなんというか皇太后が如懿を哀れに思っている様子が見えて、個人的にすごく悲しかった。かつては好敵手だったのに、今はお情けを掛けられているのかと思うとねぇ。確かに、如懿は後宮の権力闘争において敗者となり去っていくのですが…。皇太后としては如懿が敗れて去っていくのを見送るのは辛かったのかも。

 

  • 阿箬

裏切り者でヒールなのですが、強烈なインパクトがあって、正直めっちゃ好き。

彼女が如懿に対する不満を溜めていく描写が増えてくるにつれて、フラグが立ったような気がして、見ているこちらもドキドキしました。如懿を裏切って嘘の告発を始めた瞬間は、うっひょーと手に汗握りました。ショックを受けている如懿が可哀そうでもあったけど。

如懿が冷宮から復帰して返り咲き、阿箬の裏切りも露見したけれど、彼女は最後まで自分が悪いと認めなかったし(罪は認めたけど)、皇帝の妃になるという望みを邪魔した如懿が悪いと言い張って、如懿のせいにし続けた、その根性が素晴らしい。

阿箬は如懿の陪嫁(女主人がお嫁にくるとき実家から連れてくる召使)なので、民間の場合なら、そのまま側室に収まるケースが多いです。

なので、阿箬が皇帝の妃になれるかもと夢見るのはあながち妄想というほどでもないんですけどね。彼女は実家も固くて、父親も有能な官僚ですし。ただ、うまく皇帝の妃に成りあがったところで、口は災いをよぶというか、状況判断がうまくできずに言いたいことを口に出してしまう上に、思いあがった性格なので、いずれはこういう結末になることが目に見えていますけどね。

阿箬が不服そうな態度を見せ始めてから裏切るまでが、「如懿伝」の中で、一番ドキドキわくわくしたところでした。彼女は表立って如懿に反抗するので、物語に緊張感を生むキャラなんですよ。話を動かす彼女が死んで退場した時は、これでわくわくの種が無くなったとちょっとがっかりしたな。

 

  • 衛嬿婉

視聴者にアンケートを取ると、嫌いなキャラナンバー1に選ばれると思います。確かにかなりイタイ女ではあるんですが、私は結構好きなんですよね。ウザいキャラといえば、璟瑟(和敬公主)や茂倩(凌雲徹の妻)の方がよっぽど嫌いだわ。

嬿婉はすごく愚かな女だけど、地位を得るためにはどんな屈辱も耐えるという根性があるのが好き。その恥知らずでなりふり構わないところが見事だわ。なんだかんだいって努力しているし。まあ、その努力の仕方が間違っているというか、見識の浅さが見えているのが、なんとも哀れなところなんですが。

啓祥宮の侍女だった時、金玉妍(封号は嘉)にひどく虐められていたんですが、youtubeのコメント欄に「玉妍の過ちは、嬿婉をいびったこと、そして嬿婉をいびり殺さなかったこと」なんて書かれていて思わず笑っちゃいました。

ところで、youtubeの視聴者コメントは面白くて、読むのが楽しい! 国は違えどみんな思うことは一緒なのねと感心すること多し。

 

彼女は太監の進忠と共犯関係なんですが、この二人の奇妙な親密っぷりに興味が惹かれます。進忠はやたら彼女の体に手を触れて慣れ慣れしいんですが、進忠は嬿婉にかなり屈折した愛を抱いていると思うよ。この二人のカプ妄想って大いにありだと思います! かなり、進忠→嬿婉ではあるんだけど。(女主人と男従者カプ好き)

進忠の俳優さんの演技が気持ち悪くて、すごくよかったのを特筆しておきます。

 

7.美しい映像

TVドラマにしては衣装などすごく凝っていてお金かかってんなーと感心することしきりなのですが、映像も美しいです。

カメラのアングルも凝っていて、衝立の背後からカメラの視点がぐるりと動いて人物をクローズアップするシーンとか、色々工夫を凝らしてあります。

個人的に好きだったのは、シーンの合間に挟まれる紫禁城の瓦とか獅子の像とか雲のタイムラプス映像とか、そういう何気ない風景。

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雲や夕日を背景にした獅子の像ってエモい。

雪のシーンもいいんです。雪が解けるのをタイムラプスにした映像がとくに好きだったな。時間の経過を感じさせて。

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上の映像ですが、雪の中の鬼? 雪が積もっていくのがいい感じ。

 

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つららが解けて水がしたたり落ちるのがすごくリリカル。

 

下は第62集なんですが、すごく暗くて不気味なビジュアルです。

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下のは第77集の空。

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この下から見上げる空が好きなんですよ。これ、あの有名な日時計ですね。

で、空が狭いんです。建物に囲まれているから。紫禁城では檻に監禁されたような暮らしで、広い空を見ることができないんですね。

 

最終話の第87集で、私の好きなイメージカットは、これです。

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このシーンは、如懿が亡くなったところです。

如懿の住んでいた翊坤宮が喪に服しているんですが、その屋根の瓦に雑草が生えて花が咲いているんです。時間の経過を表すとともに、人の世の虚しさを感じさせて、すごく好きなイメージです。

 

「如懿伝」を見ていると、もう一度故宮に行きたくなります。故宮には若いころに2回行っただけですが、今いくと、もっと楽しめそうです。養心殿の前で跪いてみたいし、延禧宮がどれほど辺鄙なのか実感したい。ああ、また中国行きたいな。当面無理だろうけど。日本に帰れるかすら怪しいのにねぇ。

 

「如懿伝」についてもっといろいろ書きたいことはあるんですが、かなり忙しくなってきたので、とりあえず一旦ここで締めておきます。長々と失礼しました。

 

 

ところで、

うちのエリアではCovid-19の症例がどんどん増えて、病院も満床に。こんなんで来月から新学期が始まるなんてありえない。戦場に赴く兵士の気分です……。