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ぬるい懐古オタクがだらだらと語るだけ。

2019年オタク活動目標!

新年にあたり今年のオタク活動の目標を考えてみました。

年末に達成率を見るのが恐ろしいですけど…。

 

1)見るもの

ガンダム系

  • ガンダム00 (ただいま、二期の途中です。ただ、もう一周しないと感想が書けそうにもないけど…。イマイチ、話が理解できていない)
  • Gのレコンギスタ 
  • MS IGLOO 

非ガンダム系

  • 新劇エヴァ (旧エヴァは大好きだったんだけど、長くエヴァから遠ざかっているもので、そろそろキャッチアップする時かと)
  • 千年女優 他、今敏監督の作品で未視聴のもの (今敏さんの作品を全て見終えたいとずっと思っているのですが…)

以上は、マストで頑張ります。あとは、まあ、作業しながら見れそうなものを適当にピックアップしていきたいです。

他には、映像作品ではないのですが、長い間の課題(?)だった福井氏の「ユニコーンガンダム」を読みたいなと思っています。アニメ版は視聴済みなんですが、小説版は躊躇していたのです。そろそろ福井氏の∀ガンダム小説で得てしまった苦手感を克服したい…。

 

2)ブログエントリー

ガンダム系

  • カイレポ
  • 逆襲のシャア
  • ∀ガンダム
  • 小説版Zガンダム 
  • ガンダムZZ というかハマーンちゃん? (まだまだ語りたい)
  • CDA 若き彗星の肖像 (嫌いな作品ではあるのですが、なぜ嫌いなのかきちんと書いておかなければと思っています。ただ、現物が実家にあるので、夏に帰国できればいいんだけど…)

非ガンダム系

  • 未来少年コナン
  • うる星やつら2 ビューティフルドリーマー
  • Methods 押井守パトレイバー2演出ノート (押井監督がパトレイバー2の映像表現について書かれた本ですが、一度何か書いておきたい)

 

相変わらずガンダム再燃は続きそうな感じですが、正直どの程度時間がとれるのかな? たとえば逆シャアについて書くには、逆シャアを見直す必要があるしなぁ…。まあ、目標は高く! ガンダム系以外については何を書くのか未定ですが、その時々で思いついたものを…。

 

 

(以下は二次創作について。二次に興味のある方のみどうぞ)

 

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映画版「風の谷のナウシカ」(1984)再考

ナウシカ歌舞伎化という意表をつかれたニュースを見て以来、「風の谷のナウシカ」を読みたくなったんですが、現物はまだ実家に置いてある…。ということで、ナウシカ成分を補うために、久しぶりに(20年振りくらい?)アニメ映画版「風の谷のナウシカ」を視聴しました。

 

映画単体のみで見ると、悪くないと思います。ただ、漫画版と比べるとどうしても凡庸に見えてしまうんですよね。漫画版は世界観がもっと複雑で、ユニークなキャラクターが多少なりとも掘り下げられているからね。長期連載を経て宮崎監督の思索の過程が見えてくる、非常に尖った出来なので、私は宮崎監督のすべての作品の中で、漫画版「ナウシカ」が最高傑作だと思うんだけど、そんな先鋭的な漫画版という比較対象があるのはこの映画にとって不幸なことだったのかもしれない。

 

で、この映画版を漫画版に比べて批判するというのもあまり建設的ではないので、いいところを探してみることにします。(色がついて、動いて、音が出る、という以外に)

 

1) 胸躍る冒険活劇

漫画版は冒険活劇とはとても言い難いのですが(要素はあるけど、戦記ものに近いような…)、映画版は冒険活劇と言ってもいいと思います。初期の宮崎監督作品らしい胸躍る出来ですね。私は特に、コルベットの空中戦が好きです。漫画版では、クロトワのコルベット操船がめっちゃカッコいいんですが、まあ動きがあるアニメには分が悪いですね。特にアニメオリジナルの、コルベットがペジテのブリックに取り付くシーンは、「未来少年コナン」のギガント戦を思い起こさせて、すごく好きだ。

 

2)ボーイミーツガール

宮崎監督初期の冒険活劇に欠かせないのが、ボーイミーツガール! 今回、映画版を見ていて、記憶にある以上にアスベルとナウシカがボーイミーツガールしていたので、結構驚きました。映画の最後で、アスベルがナウシカを持ち上げてクルクルしているのって、コナンとラナって言われてもおかしくないくらい。しかもエンドロールで、アスベルは風の谷の風車を修理するのを手伝っていたりするし。(ペジテの再建はどうなったんだよ、おい!とツッコミを入れたいところ)

このボーイミーツガールが好きな人は、漫画版の最後は受け入れ難いですよね。アスベルはナウシカを諦めて、ケチャとくっつきそうな気配だし、ナウシカはセルムとくっつきそうな感じだからねぇ。

 

3)ハッピーエンド

クシャナは撤退して、風の谷には平和が訪れましたっていう感じのエンドロールですね。私はハッピーエンドというものに殆ど興味がないのですが、ハッピーエンドの方が一般受けするというのもわかります。漫画版はバッドエンドではないけど、結構陰鬱な終わり方だったからねぇ。ナウシカに全く笑顔がないという......。

 

4)エンターテインメント

 漫画版は全くエンターテインメントとはほど遠いのですが(でもそれがイイ!)映画版はエンタメを意識した造りになっていると思います。ナウシカが仮死?状態で甦るところがその最たるものですかね。私は好きじゃないですけど…。漫画版で、ナウシカが静かに王蟲の幼生にお別れするシーンの方がナウシカの優しさが出ていていいと思うけど、映画版のドラマ性を重視してあういう筋書きにしたのはわからないでもないけど。

あと、劇伴もメロドラマチック。(でも、私にはベタ過ぎるように聞こえる…)

一般的に宮崎監督の映像作品はすごく好きなんですけど、唯一あまり好きじゃないのが劇伴の使い方。盛り上がるシーンに盛り上がる音楽を使うというのはまあそうなんでしょうけど、もう少し意外性が欲しいなぁと贅沢なことを思ったりもします。個人の好みでしょうけど。

 

ということで、あの漫画版はとっつきにくいという人たちがいるらしいし(私はそう思いませんが)、とっつきやすいという意味ではこの映画版のほうが一般受けするのはわかるし、漫画版への足掛かりになればいいかなと思います。

私の超個人的意見では、映画版の最大の功績はクシャナ殿下のCVを榊原良子さんにされたこと! 榊原さんは当時まだお若くて駆け出しのころでいらっしゃったと思うんですけど、よくぞ抜擢してくださった!音響監督の斯波重治さんのおかげかしら? 斯波氏は押井監督のOVA「ダロス」と映画「うる星やつら オンリーユー」で榊原さんを使っていらっしゃるからね。(押井監督はこのころから榊原さんと仕事していらっしゃるのよね、よく考えれば…)

 

ところでこの「風の谷のナウシカ」が公開された1984年はアニメ映画史に残る年だよね。押井監督の「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」と河森監督の「超時空要塞マクロス 愛おぼえていますか」も公開されたなんて、いやあすごい年だ。

当時子どもだった私は、「愛おぼ」に夢中でした。(やっぱりロボットアニメが好きだった…)キャラとしては早瀬中尉派だったのですが(当時から年増好き)、ミンメイの歌が好きで、よく歌っていました。

映画版ナウシカは好きではあったんですが、ひょんなことから書店で見つけて買って読んだ漫画版の方にむしろ衝撃を受けました。なので、私にとっては子供時代のかなり早い段階から漫画版>映画版の構図が出来上がったしまったので、映画版に関しては結構醒めた目で見ていたような。(イヤな子どもだったかも)

「ビューティフルドリーマー」は大人になってから見たんです、実は。子供のころからうる星やつらが好きじゃなかったので、食わず嫌いをしていたのですが、大人になって押井監督に興味を持ってから見てみると、衝撃を受けました。今でもときどき見ています。

今にして思うと、映画版の「ナウシカ」が原作の持つ前衛性や哲学性を削ってエンタメにしたのに対して、映画「ビューティフルドリーマー」は高橋先生の原作世界のエンタメ性を否定して(逆手にとって)、前衛的な作品に仕上げたという点が対照的で面白いですね。

 

 

 

アニメ「バナナフィッシュ」22話~最終話

アニメ「バナナフィッシュ」も最終話を迎えました。スタッフの皆様本当にお疲れ様でした。

総括:

2クール+10分超過で原作19巻、最後までやりやがったよ、おい!

 

まさか最後まできっちりやるとは思っていませんでした。なめてました。すみません。 

ダイジェスト版だの詰め込みすぎだのずっと文句ばかり言っていてごめんなさい。別コミ連載中から読んでいた古いファンのたわごとと思って大目に見てやってください。

まあ、クオリティはともかく、最終回を10分延長してまで作り切ったその根性には敬意を表します。でも最終回を10分延長なんて、ノイタミナ枠では異例なのでは? 深夜枠ならではとも言えますが、結構反響あったのかな。グッズとかいろいろ出てるみたいですし。

このアニメ版がきっかけで一人でも多くの若い方が原作を読んでくださればアニメ化は成功だと思えますので、原作未読の方はぜひお手に取って、原作の会話の機微を楽しんでもらえれば嬉しいなぁ。

 

 以下、超ざくっと、各話感想!

  • 第22話

このシリーズで一番イヤな回かな…。もともと、原作でもフォックスのレイプシーンが嫌いでした。なんというかとってつけた感があったし、マックスがアッシュのポルノ写真を焼き捨てた段階で、この話題は終わらせて欲しかったんですよね。アッシュは男版小夜子(吉田先生の「吉祥天女」に出てくる魔性の少女)だと思うし、吉田先生の作品の中で一貫して性的被害を受けた少年少女が主題になっていて、それ自体は吉田先生の作品が好きな理由の一つなので、その点が問題ってわけではないんです。ただ、回数が多くなると、物語の中でその重みがなくなるような気がしてイヤなのかも……。特にアニメは駆け足だからねぇ。実際、アッシュが女なら、こんな設定は少女漫画誌ではありえないでしょう? 少女誌で男だからありえたというが興味深いところですが。キーポイントは男女間における性的被害の非対称性なので、女を男に置き換える、もしくは男を女に置き換えるという分析行為は無意味ではあるんだけど。その意味で、ジェシカとアッシュを対照させるのは拙い語り方と思うな。あ、これはアニメ版について言っているわけではないです。

アッシュの「ヒマそうだな」のセリフが好きです。でも、もうちょっと凄みを聞かせた演技をして欲しかったわ…。シンがアッシュに弱音を吐くシーンがめちゃくちゃ好きなんですが、もうちょっとこう、緩急を利かせた演技が欲しかったなぁ。あと、ジェシカの演技が妙にオバサンくさいんですが…。

 

月龍とブランカの別れのシーンですが、月龍がすばらしく美しいわ。スタッフの方で絶対月龍ファンがいるよね! 月龍が場所を教えてあげるのは彼に残っている最後の良心。月龍は本当はいい子なんだよ…。(月龍ファンの私はここを強調しておきます)

 

  • 第23話

シンが辛くて悲しい。CVの方、頑張っていらっしゃるんだけど、もうちょっと…。

あと今回見ていて思ったんですけど、ケインがアッシュの相棒としてすばらしい存在感!ちゃんとアッシュのことをわかっていて、いいなぁ。「ラオのことは気にすんな。相性の悪い奴っているもんだ」ってセリフが好きなんだよね。アッシュは繊細で精神的に不安定(もちろん、それがアッシュの魅力)だけど、ケインは精神的に安定していて、大人だし、頭もいいし、頼もしい!CV三宅さんの声もイメージにぴったりで、演技もとてもいい感じ。今回のアニメ化で私の中で一番存在感がアップしたキャラです。

 

酔っ払い月龍はかわいいねぇ。福山さんのネチネチ演技がすばらしい…。福山さんは原作ファンだそうで、気合入っていますね。月龍とブランカの会話は安定しているので、安心して聞いていられるわ…。

 

  • 最終話

オープニングロールの最後で、石塚運昇さんへの追悼メッセージが入っていましたね。それだけでもうなんというか胸が一杯になりました…。まさか最後まで録音されていたとは思っていなかったのですが。闘病中の折に、ゴルツィネの最期を演じられたなんて。でも、アッシュの仇敵ゴルツィネを石塚さんに演じてもらえてよかったと思います。ゴルツィネの最期の顔がどことなく満足そうで複雑な気分になりました。愛という名前で、彼のアッシュに対する執着や支配、性的・精神的虐待を認めるつもりはありませんが、ある意味あっぱれな最期です。

マックスにアッシュからテクストメッセージが入っていたのは(しかも父さん呼ばわり!)、いいアニメオリジナルとは思うのですが、逆に、手書きの手紙という英二君のアナクロな部分が時代を感じさせるというか、齟齬が出てしまった気がします。(しかも今時、紙の航空券はないよ…)

 

最終回は、シンの魅力が(私にとっては)満載でした。

シンとブランカのコンビはまさしく癒し系! この凸凹コンビ大好き! 可愛いよね、二人とも。

そして、月龍とシンの会話。月龍美しくて、かわいいわ。えっと、ここの部分、CV福山さん気合入りすぎていませんかねぇ。もう少しさらっとした演技でよかったと私個人は思うのですが…。シンの前では素直に泣いたり、怒ったり、素になれる月龍がかわいいんだ。シンに殴り返されて倒れる月龍に、原作では「おい大丈夫かよ」ってセリフがあったと思うんだけど、カットされてた…。最後の子どもらしいケンカシーンが大好きなので、カットされなくてよかった。ここのシーンはCVのお二方の演技がいいですね。シンのCVの方はシリアスよりもコミカルな演技の方がむいていらっしゃるのかな。

アッシュはシンのことを原作では「バカがつくほどのお人よし」と言っていたけど、この「バカがつくほどの」カットされていたなぁ。ま、尺がないから仕方がないんだけど。

そして、アッシュにむかって「強情っぱり」と言えるシンは大好き。そして、英二に対して空港で優しいウソをつくところも…。

シンはこの後、一番重荷を背負うことになるので、辛いなぁ。

 

原作通りのエンディングではあるのですが、やはり胸がいっぱいになりました…。ただ、アッシュが死んでこそ「バナナフィッシュ」は名作になったのだと思います。

 

(でも、その後の他作品でセリフだけで月龍を殺したことは納得いかないけど…。吉田先生、勘弁してくれ…)

 

 

「風の谷のナウシカ」歌舞伎化?!

ガンダムNT見たいなぁと悶々とした日々を送っています。さらに言うと、映画館のみで購入できるらしい「宇宙世紀メモリアル」なるパンフレットが欲しいのですが。福井氏のNT論が掲載されているとのことで、かなり興味があります。福井氏版の宇宙世紀シリーズは諸手を挙げて賛成しているわけでは全くないのですが、それでもやっぱり興味あります! でも日本に帰れないのよ……。海外在住オタクはツラいです。

他にも辛いといえば、パトレイバーの30周年記念展があるそうですね。いいなぁ。しかも、榊原良子さん(南雲隊長)と大林隆介さん(後藤隊長)の対談も企画されているとのこと。参加できる方、羨ましい!どなたか親切な方、詳細なレポをオンラインに出してください!

あとは新作といえば、攻殻機動隊の新作がネットフリックスで出るとのこと。これなら私でも見れる! 監督は神山さんとのことなので、SACみたいな感じになるのかな。楽しみだね。ところで、押井監督はもう関わらないのかしら。いや、別にどっちでもいいんだけど、押井監督が関わると榊原さんも出演されるかも、と期待してしまうので。

 

閑話休題。

 

news.livedoor.com

 

ええ、ナウシカが歌舞伎に???

あまりにも斜め上な展開に思わず目を疑いました。

しかも、アニメ版ではなくて、漫画版を歌舞伎化するだと??!!

 

いやいやいやいや、これはどういうことなの?

漫画版ということは土鬼も出るってことだよね。ナムリスとか、チククとか森の人とか出ちゃったりするわけ?でもって、あの凄まじくエロかっこいい、クシャナ殿下がナムリスに拉致されて、プロポーズされちゃうシーンとか舞台化されるの? (うーん、妄想するだけで、鼻血出そう…)

殿下の少女時代回想シーンは? 子守歌シーンは? 

クロトワの一世一代の見せ場(殿下を救うために逆噴射かけるとこ)もありなの? 

 

いや、たとえ昼夜通しでも、全部再現は無理だよね……。

オーマがビームを吐くシーンとかスペシャルエフェクトでぜひ再現していただきたいわ。

 

うーむ、妄想が止まらない……。

漫画版ナウシカはセリフが時代がかっているので、歌舞伎には案外あっているかも。

ぜひとも、殿下をカッコよくお願いします!

勿論、シネマ歌舞伎にするんですよね。円盤買いますとも。

 

見に行きたい。まじで。

歌舞伎は今まで4回くらいしか見たことないし、最後に見たのは2009年かな……。まだあの古き良き歌舞伎座だったときですね。

 

チケット取れないだろうけど、万一取れたら、帰国する。万一取れたら……。

 

 

「那些年,我們一起追的女孩」(You Are the Apple of My Eye, 2011)

最近見た台湾映画で面白かったのが、ギデンス・コー監督の「那些年,我們一起追的女孩」(You Are the Apple of My Eye, 2011)です。

いい映画だと評判を聞いていたので見たいなと思っていたら、台湾人の同僚がフィルムスクリーニングを開催してくれたので有難く便乗しました。

監督の自伝小説をもとにしているんですが、なんというか男子高校生のリアリティが面白いですね。のっけから下ネタ満載で、すさまじく笑えます。前半部分は、特にテンポがよくて、まったく観客を飽きさせません。

時代背景もいいんです。インターネットや携帯電話が普及する前の学生の恋愛事情は、国が違えど似たようなものだなと懐かしく思い出します。

高校生が大学生になり、社会人になり、憧れだった女の子も結婚して…と成長していく様も、さりげなく技術の進化(携帯電話やブログの登場)と合わせて描かれていて、懐かしくて胸がいっぱいになります。

若者の青春恋愛映画とみせかけて、90年代のノスタルジアに溢れているので、私のようないい年した観客のハートをぐっと掴みます。今、恋愛真っ盛りの高校生や大学生が見ても楽しめますが、中年が見てもほろりとくる映画だと思います。

 

敢えて批判するなら、前半部分の疾走感が後半部分は減速して、ややだれた印象があります。前半部分のスピード感を維持するには、110分は少し長いので、ちょっとカットしてもよかったかも。

 

下ネタに眉を顰められる向きにはお勧めできませんが、スカッとしてテンポよく笑えて、そしてちょっとほろ苦いノスタルジーを感じたい方には超オススメです。

 

 

アニメ「バナナフィッシュ」20話&21話

「バナナフィッシュ」のヒロインは英二かと思っていたんですが、私の間違いでした。ヒロインはモテモテで何度もさらわれるお姫様なアッシュです。で、癒し系の彼が英二君で、ヒロインに嫉妬して意地悪するライバルが月龍ちゃんです。

 

ということで、第20話と第21話の雑感をざくっと。

 

  • 第20話

冒頭で、コルシカ財団は金の力がすべてで、ユダヤ人にとってかわろうとしている、云々というセリフがありましたが、これって原作通り? 原作通りにせよ、アニメオリジナルにせよ、こういう民族的ステレオタイプなセリフは削るべきでした。ユダヤ人は金に強欲だの、金の力で政治を牛耳っているだの、こういうユダヤ系に対する偏見はシェイクスピアの昔からあるものですが、人種的・民族的ステレオタイプが批判されている今、アニメもグローバル展開を考えるなら、こういうネタはやめるべきです。そもそも、ユダヤ人とわざわざ言わなくても、コルシカ財団が金の力を誇示しているってだけで、意味は通じるでしょ。

 

地下水道と自然史博物館の戦闘シーンはかなり省略されていましたねぇ。でも、想像していたより違和感はなかったので、省略とつなぎ方は上手だったと思います。アクションシーンにもう少し迫力があればよかったんですけど。

 

さて、今話は月龍ちゃんが色々な意味で大活躍した回。ブランカがアッシュの味方をするために月龍と契約したことを悟って月龍が怒るシーンですが、何度みても月龍が可哀そう。ブランカは月龍に中途半端に期待をもたせるくらいなら、最初から関わるべきじゃなかったよ。孤独な月龍に同情したんだろうけど…。

最後にゴルツィネが月龍にくぎを刺すシーンはよかったです。ゴルツィネも月龍を対等のビジネスパートナーというより、箱入りおぼっちゃん扱いしている感がよく出ていたね。ゴルツィネの方が狸で遥かにうわてだ。

にしても、アッシュに敵対するグループの声優陣は、石塚さん(ゴルツィネ)、森川さん(ブランカ)、福山さん(月龍)と、どなたも芸達者で迫力があるんですが、アッシュ&英二は演技が印象に残らず、迫力に欠けているのが残念。

 

そうそう、英二が頑張って銃を撃つんですが、役に立っていないところが英二のいいところです。(嫌みじゃないよ!)

アニメでも撃つときに目をつぶっていましたが、原作ではコングとボーンズが「目つぶりながら撃つなよ」って呆れてツッコミを入れるシーンが好きでした。アニメではツッコミが省略されていて残念。ゴルツィネを至近距離で撃って外すシーンでは、シンが「なんであの距離で外すんだよ」って呆れているセリフはちゃんとありましたが。

 この辺からシンが段々辛い立場に追い込まれていくのが悲しいなぁ。

 

  • 第21話

まさかのフォックス大佐登場。うーん、省略するかと思ったけど、出してきたか! となると、あのレイプシーンやるのかねぇ。いやだな……。原作でもかなり不愉快だったのですが、このアニメスタッフだと嫌な意味で気合を入れたシーンにしそうなので、もうイヤな予感しかしない。うう。

フォックス大佐のCVって堀内賢雄さんか! うーん、堀内さんはすごく好きな声優さんだけど、ダミ声な人がよかったなぁ。まあ、私の脳内では堀内さんのお声は騎士の声(某「ハマーン様バンザイ」のバラの人)とインプットされてしまっているのが悪いんですが。

マックスが登場したのはうれしい! あの写真を焼くシーンは好きだったので、削られずにすんで嬉しいです。ところで、マックスがアッシュを待ち構えていたシーンで、ニューズウィークの編集長は俺に似て諦めが悪いんだ、云々というセリフが原作にはあったと思うんですけど、これ削ったので筋書きがわかりにくくないですか? つまり、バナナフィッシュの資料は全部アッシュに引き渡したからお蔵入りになったけど、子ども売春の件は暴くぞってことだから、このセリフを入れて欲しかったな。アッシュは大人を信用しないけど、それでもアッシュを助けよう、正義を追及しよう、という大人がいると示すのは大切だと思う。

ジェシカも再登場!ジェシカ大好き!でも、今回は、なんか演技がイマイチだなぁと思ったんですが。前はそんな風に思わなかったのにねぇ。

ところで、今回はかなーり省略されていますよね。原作が実家にあって確認できないんですが、籠城戦とかオトリ作戦とか、いろいろあったはず。プロットがちょっとわかりづらいなぁ。ジェシカがなんで戦闘に加わったのかも省略されているし。そういえば、マックスがケインに「48時間後に再婚しようって言えばいいのに」とかなんとか茶化されていたような気がするんだけど、これも省略された?

ブランカが月龍を諭すシーン(血縁に苦しめられたあなたが血縁を使って云々)は省略されなくてよかった。CV福山さんと森川さんは演技が安定していて、安心して聞いていられます。シンの演技がもう少し安定していればいいんですが…。CVの方には頑張って欲しい。シンは月龍とアッシュ陣営を結ぶ重要な存在だし、月龍と同世代の少年として対等に話せる唯一の存在だし、アッシュの最期に関わる存在だし、ということで後半の重要人物なので、正直、もう少し演技の安定した人に演じてもらいたかったなぁ。

 

なんにせよバナナフィッシュもあと数回。終わっちゃったら、寂しくなるな…。

 

 

 

サウンドCD「Gundam Odyssey」(ガンダムZZ再考 3)

今週は連休で、束の間の休息。ああ、冬休みが待ち遠しい……。

ここ最近、アニメ版バナナフィッシュの話題ばかりだったので、久しぶりに違う話題でも。

 

サウンドCD「ガンダムオデッセイ (Gundam Odyssey)」(1991年)について少し書き残しておこうと思います。

 

 

GUNDAM ODYSSEY

GUNDAM ODYSSEY

  • アーティスト: サントラ,林原めぐみ,椎名恵,冬馬由美,永井一郎,戸田恵子,池田秀一,池田鴻,TVサントラ,飛田展男,島津冴子
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 1991/03/05
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る
 

 

中古品の入手自体は簡単でした。レンタル落ちのものが安価で出回っています。

 

 2枚組のCDで、主題歌にキャラクターの語りが入ったサウンドトラック+ラジオドラマという構成になっています。初代ガンダム、0080(ポケ戦)、Z、ZZ、逆シャア、F91までを時系列的にカバーしています。

1991年に発売の公式作品なのですが、映像作品ではないので、見過ごしてしまっていました。

一見どうっていうことのない、サウンドドラマCDという感じなのですが、よく聴くと新しい発見があって非常に面白かったです。正直に言いますと、今更、当時の公式もので新しい発見があるとは思ってもみなかったので、自分的には結構衝撃でした。

 

で、そもそもなんで今更こんな古いものを購入したかというと、以前のエントリーがきっかけでした。

 

banana-snow.hatenablog.com

 

どなたか作られたか存じ上げないのですが、「一年戦争史」というお気に入りのガンダムMADがありまして、その中で使われていたハマーン様の独白音声を探しているけど見つからないよ~と喚いていたところ、通りすがりの親切な方がこのサウンドCDですよと、コメントして教えてくださったのです。

ということで、このサウンドCDにはまだお若いころの榊原良子さんの撮り下ろし音声が入っています。もうそれだけで買う価値はあると思えるくらいに榊原さんが好きです。

Disk 1はファースト、ポケ戦、Zガンダムの前半(フォウの死まで)がカバーされています。

Disk 2 の内容は以下の通りで、Zガンダムの後半(アクシズを交えた三つ巴の戦い)、ZZ、逆襲のシャア、F91をカバーしています。(F91はエピローグ扱いなので、あまり内容はないような)

1. 水の星へ愛をこめて 
2. ステージ9 発動
3. ステージ10 ジュドー・アーシタ
4. ステージ11 プルとプルツー
5. ステージ12 奔流 
6. 「逆襲のシャア」メイン・タイトル
7. オーロラ
8. ステージ13 革新
9. ステージ14 主権
10. ステージ15 アクシズ
11. ステージ16 光芒
12. ビヨンド・ザ・タイム
13. エピローグ~君を見つめて

 

で、問題の「Stage XII 奔流」はハマーン様の独白から始まります。

我々はなんとしてでも勝たねばならない。そのためにはプルツーのような強化人間に頼らなければならないのもまた事実。……フッ、ジオンに兵なしとはよく言ったものだ。シャア・アズナブルか……。あの男さえいてくれたならな……。あのように……あのようなことにならねば、まだ手はいくらでもあったというのに、それほどまでに私が許せなかったというのか、あの男。……これも所詮愚痴か。私にはそのような過去を引きずっている時間はない。目の前の敵は退けなければならん。ジュドー・アーシタ……。フッ、あれほどまでに無垢に生きてもみたかった。叶うことならばな。しかし、けじめはつけさせてもらう。

 

この独白は、榊原さんの吐息まじりの演技がめちゃくちゃエロいという身も蓋もない感想は置いておいて、なんというか胸にぐっとくる……。本編でハマーン様は愚痴を漏らすことはなかったので、こう脆い内面を見せられると、辛いよね。孤独なヒロイン感が漂っています。にしても、榊原さんって、強い女が垣間見せる脆さとか儚さを感じさせる演技が本当にお上手です。しかも、吐息がそそるなぁ……。

 

兵力に劣るネオジオンが勝つためには「プルツーのような強化人間に頼らなければならないのも事実」というセリフは、マシュマーとキャラを強化人間にしてまで使わなければならなかったことの言い訳ですかね。(実際のところ、プルツーに頼っていたのはグレミーだったから。)ハマーン様はあの二人を強化人間にしてしまったことを内心気に病んではいるんだけど、それを面に見せられないんだよね。そして、この期に及んでもまだシャアに頼りたかったっていうのがねぇ…。Zガンダムの後半であんなにいがみ合い、殺し合い、訣別しているのに、それでもシャアを諦めきれないのがハマーン・カーンという女だとわかってはいるんだけど、すごく痛々しい。

 

ハマーン様はジュドーに対して「退けなければならない」敵だと一応認識はしているんだけど、憎悪とか嫌悪とかそういうネガティブな感情は全く見えないのが、この二人が戦う理不尽さを感じさせる。彼女には、Z後半でカミーユやシロッコと戦った時のような殺意とか悪意のようなものがないし、あくまでも「退ける」だけ。ジュドーにはリィナの件があるから戦う理由があるけど、ハマーン様にはないんだよね。でも、自らの進路を阻む存在は「敵」として認識せざるを得ないから、「けじめ」として戦うっていうのが、非常にやりきれない。ラスボスとの一騎打ちが無意味な戦いとなれば、ZZの物語自体が無効にされてしまう。(そしてハマーン様の死も。無駄死に…)二人とも本当に倒さなければなければならない相手は別にいるっていうことはわかっているんだけど、運命的に戦わざるを得ないっていうのが、ガンダムらしいといえばそうなんだけど…。

で、ここでも、「大人のハマーン」vs「(無垢な)子どものジュドー」という対比がなされているわけですが……。叶うものならジュドーのように無垢に生きてみたかったという告白は意味深。シンプルに考えれば、

  • 子ども時代を子どもとして無邪気に生きられなかった。(一年戦争の頃はフラナガン機関にいたから。)
  • 少女時代はアクシズで政争と戦争に明け暮れた。(ミネバの面倒を見ながら父の跡を継いでアクシズをまとめて、地球圏に帰還準備を進めて…などなど。シャアとの初恋も、むしろ辛い思い出。)

無垢でいられたはずの十代を奪われてしまった恨み節? 

物語的に言えば、ジオンの政治体制や取り巻きの大人たちが彼女を無垢な女の子でいさせてくれなかったということなのだけど、メタフィクション的に考えれば、ZZの製作陣が、Z時代では生意気な小娘だったハマーン・カーンをZZでは大人の女にしてしまったんだよね……。

ZZでは大人vs子どもという基本構造があるから、子どものジュドーと対比させられるためにハマーン様が大人の女にさせられてしまったのがここでも明らかに。Z時代の生意気な女の子っぽさをジュドーに対しても見せていたら、ジュドーとの関係はどうなっていたんだろうか、と妄想が湧きます。

 

で、この独白のあと、「サイレントヴォイス」をBGMに二人の一騎打ちシーンが続くのですが、ここで一つ面白い改変が。

ハマーン様の最期の言葉ですが、

テレビ本編「帰ってきてよかった。強い子に会えて」

サウンドCD「帰ってきてよかった。強い子たちに会えて」

ええー、どうして複数形にしたの??? 

単数形だと、ジュドーのことを指すのは明らかなので、彼がハマーンにとって特別な存在だったってわかるけれど、複数にすると、シャングリラの子どもたちを指すことになるから、二人の特別な関係性が薄くなってしまう。なによりも、複数形だと子供たちに対する「お母さん」っぽさが強調されるわけで。でも、以前のエントリーでも言ったけど、ハマーン・カーンという女の本質は少女であって、母になることを拒絶しているひとだから、そんな彼女を無理やり母にするのはひどいと思う。ハマーンをお母さん扱いにして彼女の死に意味を持たせるのはやめてくれー。

 

(以前のエントリーでZZのハマーン様大人化&母化問題について書いているので、もしよろしければどうぞ)

 

banana-snow.hatenablog.com

 

 

でもって、この「複数形」問題なんですが、逆襲のシャアでも同様の改変が!

「Stage XIV 主権」にシャアの演説があって、その中でハマーンを批判するところですが、

劇場版本編「ザビ家の残党を騙るハマーンの跳梁ともなった」

サウンドCD「ザビ家の残党を騙るハマーンらの跳梁ともなった」

まあ、確かに第一次ネオジオン抗争はハマーンだけの責任じゃなくて、彼女を担ぎ上げた人たちにも責任はあるわけで、複数形にすることで彼女以外にも責任があると指摘しているのはいいことだ。(ただ、シャアはハマーンに対してそんな思慮があると思えないけど……。)

あ、ちなみにここでシャアが「ハマーン・カーン」とフルネームで呼ぶのではなく、「ハマーン」と名前だけで呼ぶのが好きです。なんというか、シャアが「身内の不始末」と捉えている感が漂うので。

 

最後に、このジュドーとハマーン様の一騎打ちのあと、ジュドーはブライト艦長を殴って、「一千万年銀河」が流れ始めるんですが、ZZ締めくくりのナレーション(これブライト艦長=鈴置さんのお声だよね?)なんとも後味が悪い。

 

そしてこの戦いの後、ジュドーは自分をさらに高めるべく木星へと向かった。それともそれは、嫌な人間たちのいる地球にさよならを告げるためだったのかもしれない。

 

うーん、木星に旅立ったのは、「子ども」のジュドーがイヤな大人たち(地球人)に敗北したってことなのか……。ZZはガンダムに珍しくハッピーエンドの作品とされているんだけど、必ずしもそういうわけではないよね。ハッピーエンドと言われる要素は、リィナとジュドーの再会があったからなんだけど、政治的には何ら改善の兆しがないという…。ハマーンが死んで、ネオジオンは敗北したけど、だからと言って地球連邦が変わるわけではないし、日和見な大人たちは相変わらずだし。ブライト艦長は大人の代表としてジュドーに殴られたけど、本当に殴られなければならない人(地球連邦のお偉いさん)は別にいるよねってことで、これもハマーンとジュドーの戦いの構図と同じだよね。

大人の代表として倒されて死んだハマーン様は無駄死にだし、同じく大人の代表として殴られたブライト艦長も殴られ損だ。バッドエンドとまではいかなくても、ハッピーエンドと言い難い…。

 

ところで、閃光のハサウェイが映画化されるそうですが、あれもとうとう公式になっちゃうのか。どこまで、宇宙世紀ものに依存するんですかね、ガンダムシリーズは。お金持っている中年は宇宙世紀ものにしか反応を示さないからなんでしょうが、うーん、複雑な心境だ。これでまた後付け設定が増えそうだし、なによりもブライト艦長がかわいそう。なので、閃ハサは映像になってほしくないとずっと思っていました。

ブライトさんは宇宙世紀シリーズの男性キャラで、シャアと並ぶくらいに好きなので、不幸になってほしくない……。シャアは私にとってすごく愛憎のあるキャラなので(ハマーン様絡みで「憎」の部分も大きい)、純粋に好きだと言えるのはブライト艦長の方かも。だから、閃光のハサウェイが映像化(=公式化)して、ハサウェイが処刑されるのはブライト艦長が可哀そうすぎてたまらない。あ、ハサウェイ生存エンドならいいんですけど。